4月は新年度のはじまり。子どもたちだけでなく、保護者や保育者にとっても新たなスタートです。
子どもたちとの出会いに心が踊る反面、最初の1〜2ヶ月はクラス運営も手探りかもしれませんね。そのドキドキは保護者にとっても同じで、「新しい先生はどんな人だろう?」「我が子が保育園に馴染めるかしら?」と不安に思う方もいます。
保育者としてどのように接していくのが良いでしょうか?
新年度、保護者はこんなことが不安です
実際にどのような不安があるのか、保護者の声を紹介します。
- 保育園に預けるのが初めて。子どもと離れるのが不安
- 担任の先生がどんな人か分からない。なんでも相談できるかしら?
- 他の保護者と交流はあるの?親同士の人間関係が悪かったらどうしよう
- 担任の先生が前年度と違うことが寂しい
- うちの子は持病があるから園でちゃんと見てくれるか心配
- 自分自身の仕事の不安。春から部署移動or久しぶりの職場復帰
担任保育者ができることは?
1 新入園児の保護者に対しては細やかなコミュニケーションを
新入園児の保護者の中には、初めて子どもと離れ離れになるという方もいます。送迎時には思わず涙ぐんでしまう保護者もいるほど。生まれてからずっと一緒だった我が子と離れるのですから、それは自然なことです。
送迎時には保育者から明るく声掛けを行い、保育園での出来事とその子の成長を細やかに伝え、保護者が安心して子どもを預けられるようにしましょう。
2 面談や保護者会で自己紹介をしよう
新年度は何かと慌ただしく、保護者1人ひとりに対してゆっくりと自己紹介をする時間がとれないものです。そのため「担任の先生の名前以外よく分からない……」と不安に感じている保護者もいます。
そういった保護者の不安を緩和するために、面談や保護者会では改めて自己紹介をしましょう。名前や経歴だけでなく、なぜ保育者を目指したのかや、休日の趣味など、パーソナリティーが分かる内容を伝えると親しみやすさがアップします。
3 保護者同士が接点を持てる工夫を
保護者同士の人間関係について不安を持っている方もいます。保護者会や保育参観の時には、保護者同士が接点を持てるような工夫をしてはいかがでしょう?
例えば、簡単な触れ合い遊びでアイスブレイクをしたり、自己紹介(子どものこと+保護者のこと)をしたり。
人と関わることが苦手な保護者がいた場合は、担任がコミュニケーションの仲立ちをしてみましょう。
4 年度が変わっても、必要に応じて前年度の担任と連携する
担任が変わってしまったことに不安を感じる保護者も多いようです。「○○先生の時はこんなやり方でしたよ」と指摘され、ショックを受けることもあるかもしれませんね。そんな時には「私はこういうやり方なんです!」とムキにならず、「そうだったんですね、○○先生にしっかり聞いておきます」と、前年度の担任と連携を図る姿勢を示すことで保護者の不安も和らぎます。
また、クラスが変わっても前年度に受け持った子の成長はずっと気になるものです。新旧の担任同士が情報共有を行い、子どもにとってより良い保育ができるように努めていきたいですね。
5 既往歴やアレルギーについては園全体で情報共有
健康状態に配慮が必要な子の場合、保護者の不安はより強くなります。家庭と園、そして関わる職員ごとに対応に差があってはいけません。子どもの命を守るためにも正職員、非常勤職員に関わらず職員全員が情報を共有しておくことが大切です。そして保護者とも密にコミュニケーションを図り、家庭の様子をヒアリングします。
対応の際に分からないことや不確実なことがあった場合は、独断で行動したり曖昧な返答をせず、他の職員と確認し合う習慣をつけましょう。
6 保護者自身の気持ちの変化にも心配りを
保護者の不安の種は子どものことだけではありません。4月から部署が変わったり、久しぶりに仕事に復帰する方もいるはず。精神的、体力的に疲弊しやすい時期でもあるので、担任から「ちゃんと眠れていますか?」「おうちに帰ってから無理されてませんか?」など、配慮の言葉を掛けてもらうだけでホッとするかもしれません。
新年度は保育者も不安になって当たり前
今回は保護者の不安についてお伝えしましたが、新年度は担任の先生にとっても不安が多い時期。目の前にいる子どもたちが安心して過ごすためにも、できるだけ緊張せずに保育を行いたいものです。
職員同士で不安を共有したり、休みの日に息抜きをしたりしながら、4月の不安を乗り越えていきましょう。
佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |