1歳児、2歳児クラスの担任保育士にとって、トイレットトレーニング(おむつ外し)は大切な援助内容のひとつです。おむつからパンツへのステップアップは、保育士にとって苦労が多いことも事実。てんてこまいになってしまう新人さんもいると思います。
今回は、トイレットトレーニングの援助を行う際に大切にしたい2つのポイントについてお伝えします。
早すぎる排泄の自立には要注意
保護者の方から「おむつ外しはいつから始めるべきですか?」と聞かれることはありませんか。実は、トイレットトレーニングを始めるベストタイミングは決まっているのです。
それは、大脳皮質という脳の一部分が発達していること。
言葉で自分の意志を伝えることができる、歩行ができる。こんな姿が見られたら、大脳皮質が発達している証拠です。同様に、「おしっこがしたい、うんちがしたい」と便意を感じて自分で排泄をコントロールするのも大脳皮質の働きによるものなのです。
大脳皮質は通常1歳半〜2歳前後で発達するため、トレーニングの開始は早ければ良いというわけではないのです。私たち大人はつい「1歳になったばかりなのにトイレでおしっこができたの?偉いね」という声掛けをしてしまいがちですが、発達に伴わない不自然な排泄の自立を促すことにより、子どもがストレスを感じてしまう恐れもあります。
保育士にとって必要な視点は、排泄面の成長だけに着目するのではなく、歩行や発語、コミュニケーションなど子どもの全体的な発達を見守りながら援助を行うことではないでしょうか。
トイレで起こる “成長の瞬間”を見逃さない
トイレットトレーニングの時に最もやってはいけないのは、トイレでの排泄に失敗した子を責めてしまうことです。便器での排泄に失敗してしまった時は、叱ったり激励したりせず「びしょびしょで気持ち悪いね。お着替えしようね」と子どもが感じている“心地悪さ”を受け止め、寄り添うような援助をしましょう。
子どもたちの中には「トイレでおしっこを成功させたい」「お兄さんパンツを汚したくない」と意気込み、頑張っている子もいます。ほんの少しでも便器での排泄に成功した時は、少々オーバーなくらい褒め、その子と一緒に喜びを共有してあげると良いでしょう。
この時期の子どもたちは、心も体も著しく成長していきます。1日1日の成長はとても些細なものかもしれません。例えば、昨日はトイレに行きたがらなかったのに、今日は自ら先生の手を引っ張ってトイレに行けた。トイレの順番待ちを上手にできた。おもらしをしてしまったけど、着替えを一人でできた。トイレの後の手洗いができた。
少し目を離していたら見逃してしまいそうですが、トイレを起点にしてたくさんの成長のドラマが生まれているのです。トイレットトレーニングは単純に「おむつを外すこと」ではないと私は感じています。
おしっこやうんちを自分でできるようになることは、人生の大きなワンステップ。そんな大切な瞬間に携わることができる保育士は、とても素敵な職業だと思うのです。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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