めぐみ先生の保育コラム

【3月・4月】卒園、進級、入園。変化の多い季節に保育士が配慮すべきこと

卒園、進級、入園など、春は保育現場の変化の季節。子どもたちも心がザワザワしてしまう時期です。

 

今回は、環境の変化を迎える時期に子どもたちが抱えやすい不安や、保育士が配慮すべきことについてお話します。

 

子どもたちはどんな不安を抱えやすい?

卒園や進級はおめでたいことですが、環境が大きく変化するため不安になってしまう子が多いのも事実です。今まで仲良くしていたお友達や先生と離れ離れになってしまうこと、小学校という知らない場所に行くこと、入学後に始まる授業や登下校に関する不安など、卒園を控えた子どもたちは特に大きな変化を迎えます。

 

また、在園児が進級への不安を抱えやすくなる時期でもあります。大好きな担任の先生とお別れになってしまうことや、慣れ親しんだ保育室を離れること。中には「大きくなったら〜〜ができるよ」といった励ましの言葉をプレッシャーに感じてしまう子もいます。

 

4月から新たに仲間入りする新入園児たちに寄り添うことも大切です。初めて保護者のもとを離れて飛び込む集団生活。最初は不安で泣いてしまう子のほうが多いでしょう。

 

保育者はどんな援助をしたらよい?

卒園する子どもたちへの援助

この時期は子どもたちに「もうすぐ小学生だね」という言葉を掛ける機会が多くなり、子ども自身も「しっかりしなくてはいけない」「年下の子たちにかっこいい姿を見せたい」と意気込んでいます。

 

保育者は子どもたちが学校生活に期待感を持てるような働きかけを行うと同時に、甘えたい気持ちを受け止めることを忘れないようにしましょう。小学生になってからも園に遊びに来てよいことを伝えるのも安心感に繋がります。

また、子供たちの門出を素晴らしいものにしたいという思いから、卒園式の練習に熱が入りすぎないよう注意しましょう。

 

進級する子どもたちへの援助

新しい担任やお友達と出会い、保育室が変わることは子どもにとっては大きな変化です。新しい保育室や持ち物、活動内容について事前に子どもたちに話して伝えておくとよいでしょう。たとえば、3歳児クラスになったら歯磨きの練習が始まる場合は、2歳クラスの終わりから歯磨きに興味が持てるような働きかけを行う……といったように。

 

他にも、新年度からは英語教室が始まったり、地域のボランティア活動に参加したりと、新たな活動が増える場合は、年度が変わる前に1つ年上のクラスと一緒に活動し、雰囲気を味わえる工夫をするとよいでしょう。特に、環境の変化に敏感な子どもたちに対しては、丁寧な配慮が必要です。

 

新入園児への援助

新たに仲間入りする子どもたちは、不安を抱えていて当たり前。朝の受け入れから夕方の見送りまで、より丁寧に行いましょう。保護者との連携も欠かせません。

 

乳児クラスでは、保育者と子どもが1対1で関わる時間をできるだけ多く設け、スキンシップを取りながら安心感を与えます。ここは安心できる楽しい場所だよ、と伝えるために、歌や手遊び、読み聞かせなどをしてみるのもいいですね。ただし、無理に集団生活に溶け込ませる必要はありません。個々のペースでリラックスできるように人員配置や環境構成を工夫しましょう。

 

幼児クラスであれば、子ども同士が楽しく交流できる遊びや簡単なゲームをして心をほぐしていくのもおすすめです。中には、緊張して友達や先生に話しかけられない子や、笑顔が見られない子もいると思います。その子の気持ちを汲み取りながら、必要に応じて代弁したり、みんなの前でその子の素敵なところを紹介したり、様子に応じた援助を行います。

 

保護者の不安にも寄り添う

不安を感じているのは子どもたちだけではありません。

 

「うちの子は小学校にちゃんと馴染めるだろうか」

「育児のことをなんでも相談できた保育園の先生と離れてしまうのが不安」

「人見知りなので保育園生活に馴染めるか心配」

「復職するので親自身も気力・体力的に厳しい」

 

保護者もまたこんな不安を抱えがち。しかし、言葉にして相談してくれる方はそれほど多くないと思います。

 

保育者が先回りをして安心できる声掛けを行い、保護者に安心してもらうことが大切です。卒園児の保護者に対しては、これまでの労いや感謝の意を伝えると同時に、卒園後も頼ってほしいということ。進級を控えた在園時の保護者には、進級クラスの担任へ引き継ぎをきちんとしていくことや、クラスが変わっても同じように見守っていくこと。新入園児の保護者に対しては、園での様子をより丁寧に共有し、これから一緒にお子さんの成長を見守っていくことを伝えましょう。

 

また、復職を控えて不安定になっている方もいるかもしれません。労いの言葉をかけながら、体調や精神面の状態を確認したり、気兼ねなく悩みが相談できるような言葉掛けをするのも大切です。

 

保育者自身の不安も解消できるように

年度の変わり目は子どもにとっても大人にとっても心が落ち着かない季節かもしれません。保育者自身もセルフケアを忘れずに過ごしましょう。

保育の中で不安に感じることがあれば、職場の仲間に打ち明けるのもおすすめです。「こんなときどうすればいいの?」を共有し、子どもたちにとって最善の保育を考えていきましょう。

(記事公開日 2017年03月09日)
(記事更新日 2024年02月15日)

 

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

 

-めぐみ先生の保育コラム