子どもたちが園で健やかに過ごすためには『環境構成』が重要です。ここでは、0歳児の保育室の環境構成のポイントについてお伝えしていきます。
食事、遊び、睡眠など個々のリズムを大切にする必要がある乳児期には、どのような環境づくりをしたら良いでしょうか?安全や衛生への配慮は?
一つずつ解説していきます。
ポイント1 保育室の入り口から考える
0歳クラスの保護者の中には初めて保育園やこども園に我が子を預けるという方も多く、不安に感じている人もいます。保護者に安心してもらえるように、保育室の入り口をできるだけ温かみのある雰囲気にしたいですね。季節ごとに飾りを変えたり、今日の様子が一目で分かるような連絡ボードを設置するのも良いと思います。
保護者が安心して子どもを見送り、仕事から帰ってきた時にはホッとできるような出入口をぜひ検討してみてください。
ポイント2 誰でも整理しやすいロッカー
ロッカーの工夫のポイントは、誰が見ても整理がしやすいようにすること。
帽子やオムツ、連絡帳ボックス、着替え入れなどを絵カードなどで表示し、保護者や他のクラス保育者でも荷物整理が簡単に行えるようにしておくと、登園・降園時の身支度がスムーズになります。
ポイント3 ベットや布団の配置に留意し見守りやすく
睡眠時のベビーベッドや布団の配置は、保育者の目線から死角がないように配慮しましょう。落ち着いて眠れるようにという配慮から、大きな棚の陰に布団を設置し、睡眠時の異常に気付けなくなってしまった……という事態は避けなければいけません。
また、ベビーベッドから転落したり柵に頭が挟まる事故も発生しています。ねじの緩みがないか、柵は壊れていないかなど、定期的な点検を忘れないようにしましょう。
ポイント4 動線と見通しがよい調乳室、沐浴室、オムツ交換スペース
0歳クラスでは、一人ひとりに合わせて授乳や食事、排泄の援助を行います。そのため、調乳室や沐浴室、オムツ交換スペースなどの場所はとても大切です。
設計上、位置変更が難しい設備もあるかとは思いますが、できるだけ見通しがよく動線がコンパクトな環境づくりを心掛けましょう。
例えば、調乳をしながら保育室を見渡すことができ、他の担任や子どもとコミュニケーションが取れるように絵本棚の設置場所を工夫すること。沐浴室の近くに着替えやすいスペースを作り、次の活動へ移行をしやすくすることなど、保育の導線を考えながら環境をつくっていくことで、安全・快適な保育室になります。
ポイント5 子どもの目線の高さや手の届く位置を意識する
大人の目線で物の置き場所を決めてしまうのではなく、子どもの目線や手が届く位置を考えた上で決めてみましょう。おもちゃや絵本、飾り付けなどの位置を工夫することで、子どもたちの好奇心を刺激する楽しい保育室になるはずです。寝転がって遊んでいる子、ハイハイの子、つたい歩きの子など、それぞれの目線を意識して、どこにどんなものを置くと良いか決め、成長を視野に入れた環境構成を行いましょう。
同時に、怪我や事故を防止するためにも、この考え方は有効です。
0歳クラスの環境づくりで大切にしたいこと
乳児クラスの環境構成の大前提は、安心と安全です。他の年齢と比べて誤飲や転落、指挟み事故などのリスクが高いため、担任は注意しながら環境づくりを行う必要があります。また、子どもにとってだけでなく、保護者にとっても安心できる保育室であることが理想です。
安心・安全な土台ができたら、次は「どうやって子どもたちの好奇心を刺激できるか」を考えていきましょう。まだ歩行ができない赤ちゃんたちが、能動的に外部の世界に働きかける環境づくりを考えていきたいですね。保育者のアイデアが試されます。
(記事公開日 2017年05月18日)
(記事更新日 2024年08月08日)
佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |