児童虐待は保育現場に限らず社会全体で解決すべき問題です。
保育現場で働く私たち保育者は、子どもの権利について理解を深めると同時に、常に学び情報をアップデートしていく必要があります。
「体罰をしない」「子どもの権利を守る」なんて、保育者として当然のことと思う方も多いと思いますが、ぜひ今一度、子どもの権利について確認してみませんか。
子どもの権利とは?
2016年、「子どもの権利条約」を基本理念として明記した改正児童福祉法が成立しました。日本で初めて子どもたちが権利の主体であることが法律で認められたのです。
日本ユニセフは、子どもの権利条約の4つの原則を以下のように示しています。
- 生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)
- 子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)
- 子どもの意見の尊重(意見を表明し参加できること)
- 差別の禁止(差別のないこと)
子どもの権利を守るためには、一人ひとりの大人が正しい認識を持つと同時に、子育て中の保護者をサポートしていくことが大切です。
体罰としつけは何が違うの?
しつけとは、子どもの社会性を育むために適切に手を差し伸べ、サポートする行為のことを言います。一方、体罰とは身体的な苦痛や精神的不快感を意図的にもたらす行為のことです。体罰は子どもの健やかな成長に悪影響を及ぼすおそれがあり、しつけとは明らかに質が異なるものです。
「しつけ」と称し、大人が自分自身のストレスや不安感、苛立ちを子どもにぶつけていないかを振り返ってみる時間は大切です。苛立ちを感じた際はクールダウンをすることも有効です。
保育現場においても同様です。深呼吸をしてみたり、他の職員と交代して子どもたちのそばを離れて冷静になることで「自分のイライラを子どもにぶつけそうになっていたかも」と気づくこともあります。
一人ひとりが子どもの権利を守る意識を持つことが大切
体罰や虐待はいけないことと分かっていながらも、つい苛立ってしまうことやストレスを抱えてしまうことは保育者であれ、保護者であれ、誰にでも起こりうることだと思います。
そんな時には、どうしたら子どもたちとあたたかな関係が育めるかを改めて考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
職員研修でアンガーマネジメントの手法について触れたり、子どもの権利について定期的におさらいすることも大切です。また、児童虐待防止の相談窓口や連携機関についても正しく知り、保護者に対して案内ができるようにしておくと良いでしょう。
子どもたちの成長を見守る一人として、なにができるか、なにをすべきか、ぜひ考えてみませんか。
佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |