一年に一回のお遊戯会。
演目決めから配役決め、連日の練習、リハーサル、本番……と先生にとってはやりがいのある楽しい行事であると共に、頭を悩ませる事も多い行事というのがお遊戯会ではないでしょうか。
中でも配役を決めるのはとても気を遣う部分です。
昔なら、主役は人前でも堂々とセリフが言えるような子を担任の先生が選んでいましたが、今は公平性を考えて立候補で希望を募り、重なってしまった場合は、ジャンケンやくじ引きなどで調整する事が多いようです。
物語というのは、主役と脇役に分かれているので、華やかなイメージの主役に人気が集中してしまうのは仕方のない事かもしれません。
しかし、ここからが担任の腕の見せどころです。
主役ではなくても、それぞれの役は物語を作る上でとても重要なんだよ、という事を丁寧に説明すると、あんなに主役主役と言っていた子たちが他の役に流れていく事があります。
脇役の衣装を主役の子並みに可愛くするのも工夫のひとつですね。
皆の前では恥ずかしくて自分の希望が言えないという子もいると思うので、おとなしい子へそっと声をかける配慮も忘れずにしていきたいものです。
さて、全て配役が決まり、具体的な練習が始まってからよくあるのが保護者からのクレーム。
「うちの子のセリフが少ない。」「主役のあの子よりうちの子の方が上手くやれる。」など様々です。
お母さん達にとっては我が子が一番。
晴れ舞台で我が子の活躍を見たいという気持ちは理解できます。
でもすべてのクレームを受け入れていたら「言ったもの勝ち」になり、お遊戯会が成り立ちません。
その為にも配役が決まった際、お便りなどで、
・皆で配役を決めたという事
・物語を作る上でどれも重要な役である事
・子ども達は頑張って自分の役に取り組んでいるので、お家でも応援して欲しい
という担任の思いを伝え、保護者に温かく見守ってもらいたいという事をお願いします。
それでもクレームがあった時は、保護者の思いを受け止めて、お便りに書いた内容を丁寧に説明し、時間をかけて納得してもらう方法が一番良いと思います。
このように、本番を迎える前までには色々ありますが、本番のステージで園児達が立派にやり遂げるのを舞台袖から見たら、それまでの苦労が全て飛んでしまうほどの感動で目頭が熱くなってしまうでしょう。
保護者の方々も、子どもたちの成長と自信に満ちた表情を見ることで、先生と一緒に感動を共有でき、担任への信頼もより一層増すことになると思います。