保育士の働く場所は保育園だけではありません。乳児院、児童養護施設、ベビーシッターサービスなど、資格を活かして働くことができる職場は数多くあるのです。その中のひとつが、地域の子育て支援施設(地域により、名称は異なる)です。
これは、厚生労働省が実施する「地域子育て支援拠点事業」の中に含まれる、ひろば型事業やセンター型事業のことです。地域の親子に開かれた子育て支援の場で、保育士はどんな仕事をしているのでしょうか。
地域の子育て支援事業とは、具体的にどんなことをしているの?
(1) 親子の交流の場づくり、交流の促進
地域の親子が気軽に遊びに来て、情報交換や悩みを共有したりできるようにします。利用者への細やかな声かけを行うほか、月齢ごとのイベントや、親子で参加できるイベントを開催し、親同士の繋がりが作りやすい工夫をします。
(2) 子育てに関する相談、援助
子育て中の保護者の悩みに耳を傾け、専門家として助言を行います。施設によっては、心理士や看護師が常駐しているところもあるので、各分野の専門家と連携し、適切な支援をしていきます。必要に応じて、地域の保育園や幼稚園、児童相談所と情報共有を図る場合もあります。
(3) 地域の子育て関連情報の提供
地域で開催されている子育て関連イベント等の情報や、子育てサークルのPR、医療施設や相談機関の紹介など、子育て中の保護者に役立つ情報提供の場にもなっています。ポスターを掲示したり、口頭で案内したり、様々な方法で情報発信をしていきます。
(4) 子育て・子育て支援に関する講習
子育てに関する講習(離乳食や母乳育児、保育園探し等)を開催したり、子育て関連ボランティアに携わる人を対象とした勉強会を開催することもあります。地域の消防署や警察署などと連携し、救命講習、防犯講習などを行っている施設もあります。
保育園の仕事との違いは?
毎日同じ子どもや保護者たちと顔を合わせる保育園とは違い、子育て支援施設には毎日違う親子が遊びに来ます。保育園では継続して子どもたちの成長を見守ることができますが、子育て支援施設では次にその親子がいつ来てくれるか分かりません。
継続した支援の難しさを感じる一方で、「家族にも保育園の担任の先生にも言えないことを話せた」と仰る保護者の方もいます。「いつでも遊びに来て良い場所」が身近にあることで、保護者も気軽に立ち寄って、息抜きをすることができるようです。
また、利用する保護者には様々な価値観を持った人がいます。ママ友を作りたくてやってくる方もいれば、子どもと二人きりで静かに過ごしたいと考えている方も。
職員が一方的な働きかけをするのではなく、一人ひとりの声に耳を傾け、「このお母さんはどうしてこの場に来たんだろう?」と考えた上でアプローチを考えていくことが大切だと思います。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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