園庭や公園で、アリやダンゴムシを見つけて興味津々になっている子どもたちの姿を見たことがあると思います。生き物は、子どもたちに命の大切さや不思議さ、面白さを教えてくれる自然界の先生です。
今回は、保育の中で生き物を飼育することの意味や、保育者としてどのような援助をすべきかお話しします。
飼育=相手の立場になって考える体験
飼育をするとなれば、生き物によって異なる生態を調べ、環境を整えることが必要です。カブトムシの幼虫はどんな環境で暮らしているのか、アゲハチョウのさなぎが蝶になるためには飼育ケースの中をどのようにしたら良いのか。私も新人の頃は、子どもたちと一緒に図鑑を開いて調べたことがあります。
子どもたちは生き物の飼育を通して、相手(生き物)の立場になって考えることを経験します。そして、体の形が変わっていったり、大きくなる様子を間近で観察し、生き物が寿命を迎える時には命には終わりがあることを学びます。
保育者としてすべきこと
子どもたちに命の大切さを伝えるためには、まず、保育者自身が生き物の命を大切に考え、心を込めて飼育する姿を子どもたちに見せることが大切です。昆虫が苦手な人もいるかもしれませんが、大好きな担任の先生の言葉を子どもたちは耳を澄ませてよく聞いています。「怖い」「嫌い」「気持ち悪い」という言葉は子どもたちに影響を与え、生き物に関心を持つ機会を奪ってしまうかもしれません。
昆虫が苦手という方は、身近な先輩保育士に相談してみてはいかがでしょうか。まずは簡単な世話(小屋の掃除や水換え)を体験したり、他のクラスの飼育の様子を見せてもらうことで、少しずつ理解を深めることができるかもしれません。
保育室での飼育におすすめの生き物
飼育を行う時は、なるべく子どもたちの身近にいる生き物を選ぶと良いでしょう。ペットショップで購入する珍しい生き物や、その土地の気候に適していないものは飼育が難しく、餌も入手しづらい可能性が高いです。
カブトムシやカタツムリ、チョウなど、公園や周辺の森林にいる生き物が保育室での飼育に適しています。また、子どもたちが自分の手で世話をしやすいこと、体の変化や生態が面白いことも考慮して選ぶと、より関心を持って飼育を行うことができます。
クラス全体で生き物を見守ろう
飼育を始めたら交代で世話を行い、生き物の様子に変化があった時はみんなに知らせるようにしましょう。おたよりや連絡帳で保護者にも伝え、関心を持ってもらうことで、家庭でも話題を共有することができます。また、子どもたちが命の大切さを考える活動であるということを保護者にも理解してもらうことで、大人と子どもの線引きを超えて、生き物を見守り大切に育てることができます。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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