近年、子どもの預け先が多様化しており、それに伴って保育士の活躍の場が増加しています。今回は、それぞれの施設の特徴や働き方、求人の動向について説明していきます。
認可保育園(認証保育所・認定保育室)
多くの方々にとって馴染み深いのが、主に社会福祉法人や株式会社などが運営する『認可保育園』となります。普段あまり意識することはないですが、学生時代に行く保育園実習は、ほとんどの場合、この認可保育園で実施されます。
また、認可保育園の不足に伴い、各自治体で東京都認証保育所や横浜保育室といった『認証保育所・認定保育室』が登場してきました。こうした保育施設の特徴として、保育士の配置基準の緩和や、設置面積の縮小といった独自の基準が設けられています。
他の施設形態と比較して規模が大きく、お子さんの定員数も多い為、たくさんの保育士を必要とするので求人は出やすい傾向にあります。
幼保連携型認定こども園
保育の受け皿を増やすことを主な目的として、幼稚園と保育園の両方の良さを持った『幼保連携型認定こども園』が増え始めています。平成32年3月までは移行期間として保育士、幼稚園教諭のいずれかの免許のみで勤めることができますが、それ以降は働く上で両方の資格を所持している必要があります。
まだまだ数は少ないものの、認可保育園と同じく大型の施設が多い為、求人は比較的出やすい傾向にあります。
病院内保育室・企業内保育室
自社で働く従業員が、お子さんを保育所に入れることができないことを理由に離職してしまう事を防ぐ目的で、敷地内に保育所を設置する『病院内保育所』『企業内保育所』という施設形態が増え始めています。
求人の傾向としては、年度の途中から年度末にかけて期間限定の派遣やパート・アルバイトを中心に求人が増加していき、年度の替わり目で大幅に減少する傾向があります。 この理由としては、年度末に向けて従業員の出産、産休明けに伴って預かる子どもの人数が段階的に増えていく施設が多く、認可保育園の入園発表を受けて年度初めにお子さんの数が一気に減るためです。
小規模認可保育園
2015年に「子ども・子育て支援新制度」がスタートした中で、新たに国の認可事業となったのが『小規模認可保育園』です。基本的には0-3歳未満児が対象となっており、6人以上19人以下の定員となっている為、少人数で手厚い保育を実施することができます。
始まった直後は、新しい施設形態だった事と施設の数がそこまで多くなかったことが相まってなかなか求人が出てきませんでしたが、現在は施設数が急激に増加していることもあり、既存園であれば比較的求人に辿り着きやすくなっています。
ただ、オープニング施設は依然として高人気が続いている状況です。
学童・児童館
保育園を卒園した子どもたちの預かり先となるのが、この学童施設となります。保育所と比べると取り上げられる機会はそこまで多くありませんが、実はこの学童施設も待機児童が増え始めています。最近は設置場所の確保の問題や、小学校から学童保育施設までの移動の安全性の確保を理由として、小学校内に学童施設を設置するケースも増えてきています。
また、学童と並べて表記されることの多い児童館は、基本的には0歳~高校生の子どもたちの室内の遊び場となっています。児童館の中に学童が併設されている施設では、同じ職員が両方を見ることも多くあります。
需要の増加に伴い施設数も増えてきていますが、保育士や幼稚園教諭だけでなく、小学校などの教員免許をお持ちの方も有資格者として認められていて充足しやすい為、保育園などと比較すると求人数はまだそこまで多くない傾向にあります。
保育ママ
保育ママは、基本的に自らの自宅で主に3歳未満のお子さんを預かる仕事になります。1人の保育ママが預かるお子さんの人数は概ね2~3名となっており、保育補助の方がいる場合は5名まで預かることができます。
求人の管轄は自治体となっている為、ご希望の場合は自治体の要綱をホームページや区報、市報などで確認するとよいでしょう。
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、障害のある児童向けの学童のような施設となっています。預かるお子さんは小学生だけでなく、中学生、高校生までと幅広く対象としています。預かりの時間は学校の授業が終了した後や長期休暇中となっており、運動や造形、楽器演奏などの独自のカリキュラムを元に実施している施設もあれば、専門的な療育を受けることのできる施設もあります。
ただ、ここ数年で急激に増加した施設形態であり、サービスの質の低さが取り沙汰されることも多くありました。
そこで、厚生労働省が新たに児童指導員や保育士の配置基準を厳格化しました。それによって、放課後等デイサービスの施設においての保育士の需要が急激に高まったこともあり、求人数が大幅に増加しました。
インターナショナルスクール
小学校の英語の必修化やグローバル化の進行、価値観の多様化に伴いインターナショナルスクールが増加しています。施設によって保育の形態も異なっており、すべて完全英語で保育を行なっている施設もあれば、活動の時間のみ英語に触れるようにしている施設もあります。
その為、外国人講師とのコミュニケーションや、英語での保育を問題なくこなせるレベルを求められることもあれば、英語で日常会話がこなせればOK、場合によっては英語が好きであれば応募可能としているケースもあります。
求人の傾向は地域によって異なり、都内であれば比較的募集が出やすいですが、地方であると求人数が少ない事もあり、応募倍率が高くなるケースが多くあります。