平成21年度 小児保健
問1 次の文は、平成18年の「人口動態統計」によるわが国の母子保健の統計に関する記述である。不適切な記述をずつ選びなさい。
1 0歳の死因で第1位は先天奇形、変形及び染色体異常である。
2 1~4歳の死因で、先天異常が第1位である。
3 15~19歳の母親の出生率は女性人口千対5.2である。
4 乳児死亡率は、出生千対2.6である。
5 周産期死亡率は出産千対4.7である。
問2 次のような症状と経過を示す疾患名として適切なものを一つ選びなさい。
感染力はあまり強くないが、ウイルス性の急性発疹性感染症である。潜伏期間は2~3週間で、発熱、発疹、首のリンパ節腫脹があらわれる。発熱、発疹は2~3日で消えるが、リンパ節の腫脹は3~6週間続くことがある。発疹は斑丘疹性で顔面から全身に広がり、淡紅色を示し、皮膚に色素沈着を残すことはない。血小板減少性紫斑病や髄膜脳炎などの合併症がみられる。また、妊婦が妊娠初期に罹患すると、胎児に白内障、先天性心疾患、難聴(聾)等の異常をおこすことがある。
1 伝染性紅斑 2 流行性耳下腺炎 3 突発性発疹症 4 麻疹 5 風疹
間3 次の組み合わせは、策定当初の「健やか親子21」の指標と2010年の目標に関する組み合わせである。不適切な組み合わせを二つ選びなさい。
[指標] [2010年の目標]
1 妊娠中の喫煙率 ------ なくす
2 妊娠・出産について満足している者の割合 ------ 100%
3 妊産婦人口に対する産婦人科医・助産婦の割合 ------ 増加傾向へ
4 出産後1か月時の母乳育児の割合 ------ 増加傾向へ
5 妊娠中の飲酒率 ------ 30%
問4 次の文は、乳児の生活・養護に関する記述である。不適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
A 日光中の紫外線がビタミンDを活性化し骨成長を促すが、有害紫外線による皮膚がんの危険があるので、日光浴には十分な注意が必要である。
B 乳児は涙管が狭く涙が鼻に流れにくいために目やにが出やすいので、いつも注意していなければならない。
C 乳児揺さぶられっこ症候群は、首のまだすわらない乳児に出現し、首のすわった乳児には見られない。
D 女児の外陰部の清拭は、尿路感染などを防ぐために、肛門の方から外陰部に向かって拭く。
1 AB 2 AC 3 BC 4 BD 5 CD
問5 次の文は、乳幼児の感染症にういての記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 川崎病はヒトパルボウイルスによっておこる感染症である。
B 乳児では、結核に感染すると栗粒結核などの重篤な病気になりやすい。
C MRSA感染症とは、ペニシリン製剤が無効であるブドウ球菌によっておこる感染症である。
D 百日咳に罹患すると、特有の連続性、発作性の咳(スタッカート)がみられ、夜間にとくにひどい。
E 突発性発疹は、インフルエンザ菌によっておこる感染症である。
A B C D E
1 ○ ○ × ○ ×
2 ○ ○ × × ○
3 × ○ ○ ○ ×
4 × ○ ○ × ○
5 × × ○ ○ ○
問6 次の文は、子どもの溺水事故に関する記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 子どもの年齢によって、溺水事故の原因や発生場所に違いはない。
B 溺水事故は、救命できれば呼吸停止による脳障害、後遺症はほとんど発生しない。
C 家庭内で発生する乳幼児の溺水事故の大半は、浴室での事故である。
D 乳幼児が一人で浴室に入らないようにすることは溺水事故防止につながる。
E 乳幼児では、ビニールプール、バケツ、洗濯機などでも溺水事故が発生することがある。
A B C D E
1 ○ ○ ○ × ○
2 × ○ × ○ ○
3 × × ○ ○ ○
4 × × × ○ ○
5 × × × ○ ×
問7 次の文は、保育所における食中毒への対応に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
A 食中毒が疑われる場合、感染症とは異なり、対象となる子どもを隔離する必要はない。
B 施設長等は、入所児・家族・職員の健康状態を確認し、症状が疑われる場合は医療機関への受診を勧める。
C 食中毒発生時には嘔吐物、便などは的確に処理、消毒を行い、二次感染予防に努める。
D 食中毒の発生予防は嘱託医の役割であるので、そのマニュアルは作成する必要はない。
E 食中毒の発生予防のためには、調理前の食品の管理や職員が確認するべき事項について計画表を作成することも大切である。
1 A B C 2 A B D 3 A B E 4 B C E 5 C D E
問8 次の文は、睡眠に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 新生児は3~4時間の授乳リズムで睡眠覚醒を繰り返しているが、月齢とともに次第に昼夜の区別が可能になる。
B 乳児は浅い眠りの時に夜泣きしやすい。
C 成長ホルモンは、入眠時、ノンレム睡眠の最も深い時に比較的多く分泌される。
D 睡眠リズムの調節と免疫機能の向上作用をもつメラトニンは、日中に比較的多く分泌される。
E 自閉症や情緒障害などで生体リズムが乱れるが、特に睡眠リズムを改善させる必要はない。
A B C D E
1 ○ ○ ○ × ×
2 ○ ○ × ○ ○
3 ○ × ○ × ×
4 × × ○ ○ ○
5 × × × ○ ×
問9 次の文は、一般的に行われている乳幼児の身体計測に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
A 胸囲は、2歳未満の乳幼児の場合仰臥位にして、吸気後に巻き尺で計測する。
B 乳児の身長は、原則として仰臥位で計測する。
C 2歳以上の幼児の身長は、立位であごをひき、耳眼面が水平になるようにして計測する。
D 乳児の体重計測は、動いたり泣いたりすることを防ぐため、授乳直後に行う。
E 頭囲は、後頭部のいちばん突出している部分と、左右の眉の直上を通る周径を巻き尺で計測する。
1 A B C 2 A B D 3 A D E 4 B C E 5 C D E
問10 次の文は、脳と神経発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 大泉門は正常な発育をしている乳児では、生後6ヶ月頃までに閉鎖する。
B 平成12年の「乳幼児身体発育値」によれば、出生時の頭囲の中央地は女児よりも男児が大きい。
C 哺乳反射は未熟傾向のつよい出生児ではみられないことがある。
D モロー反射は正常に発育している乳児では生後6ヶ月頃から出現する。
E デンバーⅡ発達スクリーニング検査で幼児の知能指数を測定する。
A B C D E
1 ○ ○ ○ × ×
2 ○ × ○ × ○
3 × ○ ○ × ×
4 × ○ × ○ ×
5 × × × ○ ○
問11 次の文は、小児期の免疫機能に関する記述である。(A)~(E)にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
免疫には、胎盤を経由して胎児に移行する母子免疫などの(A)免疫と、自分で作り出す(B)免疫とがある。ウイルスや細菌などに感染し、病原体が体内で増殖すると、血液中に(C)が産生される。再度の感染の場合には、免疫学的記憶により、さらに速やかに(C)が産生される。この仕組みを応用して感染症を防御する方法が(D)である。血清免疫グロブリンのうちの(E)は、妊娠7ヶ月以降になると、母体から胎盤を通って胎児にたくさん移行する。
A B C D E
1 受動 能動 抗体 予防接種 IgM
2 受動 能動 抗体 予防接種 IgG
3 能動 受動 抗体 ガスリー法 IgM
4 能動 受動 抗原 ガスリー法 IgM
5 受動 能動 抗原 予防接種 IgG
問12 次の文は、予防接種に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 保育所内で感染症が流行した場合に備えて、保育士は日頃から各園児の予防接種歴を把握しておくことが大切である。
B 保育所に入所した後、新たに予防接種を受けた場合には、市町村から保育所に連絡があるので、保護者に伝えてもらう必要はない。
C 定期予防接種は、標準的な摂取期間に行うようになっている。
D 嘱託医やかかりつけ医の指導のもとに、計画的に予防接種をすることが奨励されている。
E 水痘(水ぼうそう)は、定期予防接種であり、弱毒性生ワクチンを4歳までに摂取することになっている。
A B C D E
1 ○ × ○ ○ ○
2 ○ × ○ ○ ×
3 ○ × × ○ ○
4 ○ × × ○ ×
5 × ○ × × ○
問13 次の文は、乳幼児の健康診査に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
A 健康診査には、集団検診と医療機関などで行われる個別健診とがある。
B 健康診査では、身体測定、全身状態の観察、一般的な問診や診察などが行われる。
C 健康診査では、乳幼児の障害や発達の遅れなどの早期発見が目的であり、一般的な育児相談は行われていない。
D 健康診査の場では、親に助言したり相談にのったり、親同士の交流の機会を設けることもある。
E 3ヶ月時を対象とした健康診査の時に、先天代謝異常のマススクリーニングの検査を実施する。
1 ABC 2 ABD 3 ADE 4 BCE 5 CDE
問14 次の文は、保育所における子どもの健康管理に関する記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
A 保育所は、子どもが集団で生活する場であるので、一人一人の健康に配慮することでなく、集団としての子どもの健康に配慮する。
B 子ども自らが健康に関する知識を身につけられるように配慮することも大切である。
C 毎日の子どもの健康観察では、いつもと異なる状態をすみやかに見つけ出すことが大切である。
D 乳幼児の発育状態を把握するためには、主として座高や皮下脂肪厚を測定する。
E 精神運動機能の発達状態は、子どもの日常の言動や生活などの状態から、ある程度は推測できる。
1 ABC 2 ABD 3 ABE 4 BCE 5 CDE
問15次の文は、小児によくみられる症状への対処についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 下痢―嘔吐が激しくなければ、湯冷ましや番茶を少量ずつ与え、水分の補給につとめる。人工栄養の場合はミルクの濃度を濃くして与える。
B 発熱―安静にして頻回に水分補給をする。できるだけ早く常備薬のアスピリンを使用して熱を下げるようにする。
C 嘔吐―下痢を伴う場合は、消化器系の病気のことが多いので、経口的に食べものを与えることはひかえる。脱水症になりやすいので、水分補給につとめる。
D けいれんー舌をかまないように口の中にタオルを入れる。けいれんの続いている時間や左右差、意識状態、熱の有無、便の状態、嘔吐の有無などをできるだけ正確に観察する。
E 鼻出血―小児の鼻出血のほとんどは鼻中隔前端部(キーゼルバッハ部位)からの出血であるので、鼻を約15分間つまんで鼻中隔の方向に圧迫するだけで通常は止血する。
A B C D E
1 ○ ○ ○ × ○
2 ○ × × ○ ×
3 × ○ ○ ○ ×
4 × × ○ × ○
5 × × × ○ ○
問16 次の文は、乳幼児突然死症候群に関する記述である。これを予防するために適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
A 寝返りのできない乳児は仰向けで育てる。
B 子どもの睡眠を妨げないために、保育士は子どものそばを離れてもよい。
C なるべく人工栄養で育てる。
D 両親が禁煙する。
E 保育所では特に入所初期の乳幼児の観察を十分に行う。
1 ACD 2 ACE 3 ADE 4 BCE 5 BDE
問17 次の文は子どもの疾患に関する記述である。誤っている記述を一つ選びなさい。
1 壊血病は、ビタミンCの欠乏で起こる。
2 腸重積症は、生後5~9ヶ月の乳児に多く発症し、嘔吐、腹部のしこり、血便が見られる。
3 神経芽細胞腫は子どもの悪性腫瘍であり、治療せずに治癒することはない。
4 周期性嘔吐症は2~10歳の小児に好発し、脱水症を伴うことがある。
5 乳児の原因不明の発熱や嘔吐がみられるときには、髄膜炎、急性中耳炎、尿路感染症などを疑ってみる。
問18 次の文は、小児の意識障害についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 傾眠は、ウトウトしている状態であり、呼びかければ覚醒して活動を活発に開始する。
B 昏迷は、痛覚などの刺激を加えると身体を動かしたり、刺激を避けようとしたりする。
C 昏睡は、痛覚などの強い刺激を加えても全く反応しない状態である。
D 意識変容には、せん妄やもうろう状態などがあり、子どもではよく見られる状態で、静かに寝かせておけば回復する。
E 子どもでは眠りと意識障害との本質的差がなく、よく眠っているときには刺激を加えて反応を確かめる必要がある。
A B C D E
1 ○ × ○ × ○
2 ○ × × ○ ○
3 × ○ ○ × ×
4 × ○ × ○ ○
5 × ○ × ○ ×
問19 次の文は、わが国の新生児マススクリーニングに関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A ほぼ100%の新生児が新生児マススクリーニングとして、先天性代謝異常等(クレチン症を含む)検査を受けている。
B 新生児マススクリーニングの対象疾患は、早期発見されなければ、死亡または重度の障害を引き起こす疾患である。
C 新生児マススクリーニングでは早期発見されたクレチン症のほとんどの子どもたちは、適切な治療によってほぼ普通の生活を行っている。
D ほぼ100%の新生児が聴覚(難聴)スクリーニングを受けている。
E ほぼ100%の新生児が、放置すると突然死を引き起こす脂肪酸代謝異常などのスクリーニングを受けている。
A B C D E
1 ○ ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ ○ × ○
3 ○ ○ ○ × ×
4 × × ○ ○ ○
5 × × × × ○
問20 次の文は、保育現場における衛生上の留意事項に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A プールに水については、水質基準の遵守が不可欠で、塩素剤を添加しph4.0以上5.8以下に保つように管理する。
B 木製の玩具は石鹸で洗って、水分をよくふき取った後に、アルコール製剤で消毒する。
C 飼育動物による感染は、動物にかまれたときだけにおこるので、直ちに消毒する。
D 飲料水は、濁りがないか、塩素以外の臭いがないか、毎日チェックすることが望ましい。
E 居室の温度は、夏季20~26℃、冬季は18~20℃に保つことが望ましい。
A B C D E
1 ○ ○ × ○ ○
2 ○ × ○ ○ ○
3 ○ × × ○ ×
4 × ○ × ○ ○
5 × ○ × × ×
↓ ↓ ↓ 解答をチェック ↓ ↓ ↓
問1.2 問2.5 問3.5 問4.5 問5.3 問6.3 問7.4 問8.1 問9.4
問10.3 問11.2 問12.2 問13.2 問14.4 問15.4 問16.3 問17.3 問18.3
問19.3 問20.4