平成22年度 精神保健
問1 次の文は、脳の各部の働きに関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 側頭葉は、聴覚や言語に関する機能がある。
B 海馬や扁桃体は、情動、記憶、意欲に関与するだけでなく、自律神経やホルモン分泌にも関与する。
C 橋・延髄は、眼球運動、視覚反射、聴覚反射の調節を行い感覚機能と運動機能をコントロールする。
D 中脳は、自律神経の中枢であり、交感神経系、副交感神経系を介して内臓の働きをコントロールする。
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ ○ ×
5 × × × ×
問2 次の文は、知的機能の障害についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 認知症とは、精神の発達停止あるいは発達不全の状態であり、発達期に明らかになる全体的な知能水準に寄与する能力、例えば認知、言語、運動および社会的能力の障害によって特徴づけられる。
B 精神遅滞では、いったん正常に発達した知能が、脳の後天的な器質障害により持続的に低下する。
C 幼児期に精神遅滞とされた者が数年後に正常域に追いつくことをキャッチ・アップと呼ぶ。
D 国際疾病分類第10版(ICD-10)では、知能検査で知能指数が80以下を精神遅滞の目安としている。
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 × ○ ○ ○
3 × ○ × ○
4 × × ○ ×
5 × × × ×
問3 次の文は、摂食障害に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 発症率は男性よりも女性の方が高い。
B 過度の拒食があっても死亡することはない。
C むちゃ食いと嘔吐を繰り返す場合がある。
D 国際疾病分類第10版(ICD-10)による神経性無食欲症の確定診断の一つは、体重が期待される値より少なくとも30%以上下まわることである。
E 神経性無食欲症の治療には、食欲増進薬による薬物療法が最も有効である。
A B C D E
1 ○ × ○ ○ ○
2 ○ × ○ ○ ×
3 ○ × ○ × ×
4 ○ × × ○ ×
5 × ○ × × ×
問4 次の記述のうち、多動性障害でよく見られる特性として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 興味の対象が狭く反復性の常同的な行動
B コミュニケーションにおける質的な障害
C 運動やバランスの悪さ
D ごっこ遊びや社会的模倣遊びの乏しさ
E 学業成績不良
A B C D E
1 ○ ○ × ○ ○
2 ○ × ○ × ×
3 ○ × × × ○
4 × ○ × ○ ×
5 × × ○ × ○
問5 次のA~Eの記述のうち、疾患名とその疾患の症状として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A アスペルガー症候群 ----- 興味の限局
B 学習障害 ----- 思考障害
C 社会不安障害 ----- パニック発作
D 双極性障害 ----- 躁状態
E 統合失調症 ----- 失調性歩行
A B C D E
1 ○ ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○ ×
3 ○ × × ○ ○
4 × ○ ○ × ○
5 × ○ × ○ ×
問6 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】3歳女児。保育園に入園したが、おままごと遊びでは他の園児との交流がほとんどない。時々園庭を目的もなく走り回ったり、おままごとの道具を床いっぱいに向きをそろえ同じパターンで並べる事に夢中になっていた。その様子に気付いた保育士が、母親から母子健康手帳を確認させてもらったところ、1歳6か月の「保護者の記録」の「ママ、ブーブーなど意味のあることばをいくつか話しますか。」という質問項目に「いいえ」とチェックされていた。また、「どんな遊びが好きですか。」という質問項目には、遊びの例として、「おもちゃ箱のふたを床の上で指先を使ってクルクルと回すこと」と記してあった。その遊びばかりをくり返していたとのことであった。
【設問】この子どもで最も疑われる精神医学的問題について、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 原因となる遺伝子が特定されている。
B 発達の問題が疑われるので、経過を注意深く追う。
C 治療としては薬物療法が第一選択である。
D 家庭と保育園での様子に違いがあるか確認を行う。
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ × ○ ○
3 × ○ ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × × ○
問7 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】生後6か月の男児。体重が1か月以上増加せず心配であったため、保育士が母親から話を聞いた。父親は「目に入れても痛くない」と言い、男児を無条件でかわいがっているとのことだったが、母親自身は養育に戸惑っているようであった。母親は、男児の空腹や満腹について「気付くことができない、わからない」と言い、げっぷについても「必要性やタイミングがわからない」ということであった。しかし、看護師や保育士は男児にスムーズに関わることができ、ミルクもよく飲んだ。男児の体重増加不良を説明できる身体疾患は見つからなかった。
【設問】この子どもで最も疑われる精神医学的問題を一つ選びなさい。
1 異食症 2 常同運動障害 3 哺育障害 4 摂食障害 5 反抗挑戦性障害
問8 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】8歳の女児。この2か月間に数回、夜中に目が覚めたときに自分がどこにいるのかすぐにわからず、しばらくして弟の部屋や、台所にいることに気付くことがあった。弟の話によると、夜中に歩き回り、呼びかけても応答しないが、たいていはしばらくすると、自分で自分の部屋のベットに戻るという。女児は覚醒してもこれらのことを一切覚えていない。日中にこのようなエピソードはない。脳波検査と身体的検査の結果は正常であった。
【設問】この子どもで最も疑われる精神医学的問題を一つ選びなさい。
1 解離性障害 2 睡眠時ミオクローヌス 3 夜驚症 4 睡眠時遊行症
5 不眠症
問9 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】8歳の男児。主な遊び相手は妹である。おままごと遊びでは常に母親役か姉役をやり、妹には男役をやらせる。チャンバラごっこなど男の子の乱暴な遊びは嫌がって仲間に加わろうとしない。腰にタオルを巻いてスカートにしたり、頭にリボンをつけたり、爪にマニキュアをつけたりすることが大好きである。機嫌が悪いときは「男なんか嫌いだ、女の子になりたい」と言う。
【設問】この子どもで最も疑われる精神医学的問題を一つ選びなさい。
1 性同一性障害 2 性嗜好障害 3 フェティシズム 4 行為障害
5 パーソナリティ障害
問10 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】11歳の小学5年生男児。小学4年生の夏休み後に突然学校へ行かなくなった。小学5年生の3学期になり、何もない所で「総理大臣がそこにいる。議員さんもいる」などと言い始めた。母親の作った食事をとらなくなり、「味が変だから、毒が入っている。コンピュータが僕の脳に変な指示をする」などとも言い始めた。心配した両親が、地域の保健センターに相談し、精神科クリニックを受診することになった。男児は表情が乏しく、いつも不安げで、「先生、お願いだから僕の心をとらないで!」などと訴えていた。
【設問】この子どもで最も疑われる精神医学的問題について、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 話しかけと受けこたえのかたちで声が聞こえる。
B 漠然とした外界変容感を伴った不気味な恐ろしさを感じている。
C 学童期以前の診断は困難である。
D 慢性期においても急性増悪がある。
E 内的異常体験が自傷行為や乱暴となってあらわれる。
A B C D E
1 ○ ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × ○ ×
3 ○ × ○ × ○
4 × ○ ○ × ×
5 × × ○ ○ ○
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