平成17年度 保育原理
「児童の権利に関する条約」の条項の一部である。問1~問3に答えなさい。
1 締約国は、到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利を認める。締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。
2 締約国は、1の権利の完全な実現を追及するものとし、特に、次のことのための適当な措置をとる。
(a) 幼児及び児童の死亡率を低下させること。
(b) 基礎的な保健の発展に重点を置いて必要な医療及び保健をすべての児童に提供することを確保すること。
(c) ( A )の危険を考慮に入れて、基礎的な保健の枠組みの範囲内で行われることを含めて、特に容易に利用可能な技能の適用により並びに 十分に栄養のある食物及び清潔な飲料水の供給を通じて、疾病及び栄 養不良と戦うこと。
(d) 母親のための産前産後の適当な保健を確保すること。
(e) 社会のすべての構成員特に父母及び児童が、児童の健康及び栄養、( B )による育児の利点、衛生(環境衛生を含む。)並びに事故の 防止についての基礎的な知識に関して、情報を提供され、教育を受け る機会を有し及びその知識の使用について支援されることを確保する こと。
(f) 予防的な保健、父母のための指導並びに( C )に関する教育及びサービスを発展させること。
問1 ( A )に当てはまる正しい語句を一つ選びなさい。
1 予防接種 2 自然災害 3 不衛生 4 環境汚染 5 伝染病
問2 ( B )に当てはまる正しい語句を一つ選びなさい。
1 自然食 2 添い寝 3 スキンシップ 4 人工乳 5 母乳
問3 ( C )に当てはまる正しい語句を一つ選びなさい。
1 育児方法 2 家族計画 3 健康診査 4 出産準備 5 性役割
問4 乳幼児の保育に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 子どもの養育及び発達についての第一義的な責任は、子育ての専門職である保育士にあるが、保育の実施に当たっては、保護者との協力が重要である。
B ファミリー・サポート・センターは、旧労働省が「仕事と育児両立支援特別援助事業」として1994年度に創設したもので、育児の援助を行いたい者と援助を受けたい者が登録会員となり、相互援助活動を行うことを支援するものである。
C 1989年の合計特殊出生率の「1.57ショック」以来、政府は「エンゼルプラン」「新エンゼルプラン」等、少子化対策に取り組んできた。しかし、出生率は一向に回復せず、2003年の合計特殊出生率は、ついに1.32となった。
D 子どもの心身の状態に応じた保育を行うためには、子どもの状態を十分に把握しておくことが望ましい。それには、嘱託医の指導の下、保護者から情報を得ることが必要である。但し、保育士には守秘義務があるので、母子健康手帳等の活用は望ましくない。
E 認可外保育施設とは、保育所と同様の業務を目的とする施設であるが、都道府県知事の認可を受けていないものである。したがって、ベビーホテル等のこれらの施設は、児童福祉法の規制を一切受けることはないし、立ち入り調査もない。
A B C D E
1 ○ ○ ○ × ×
2 × ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ○ ×
4 × ○ × × ×
5 ○ × × × ○
問5 「保育所保育指針」第1章「総則」一部である。( A )~( E )に当てはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
保育所における保育の基本は、家庭や地域社会と( A )を図り、保護者の協力の下に( B )の( C )を行い、子どもが健康、安全で情緒の安定した生活ができる( D )を用意し、自己を十分に発揮しながら( E )できるようにすることにより、健全な心身の発達を図るところにある。
A B C D E
1 連絡 家庭教育 補完 環境 援助
2 連携 家庭育児 補足 保育室 保育
3 連繋 家庭教育 補充 保育室 運動
4 連携 家庭養育 補完 環境 活動
5 連絡 家庭養育 代替 遊具 学習
問6 「保育所保育指針」第1章「総則」の「保育の方法」の一部である。( A )~( E )に当てはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
保育においては、保育士の( A )が子どもに大きな( B )を与える。したがって、保育士は常に( C )などを通して、自ら、( D )性と( E )性の向上に努める必要がある。
A B C D E
1 態度 影響 研鑚 精神 可能
2 態度 刺激 講習 人間 専門
3 言動 影響 研修 人間 専門
4 行動 刺激 学習 人格 可能
5 言動 影響 研修 情緒 専門
問7 保育においては、「子どもの性差や個人差にも留意しつつ、性別による固定的な役割分業意識を植え付けることのないように配慮すること」が求められ、保育所保育指針の「保育の方法」にも述べられている。次の事例のうち、保育士の配慮として適切なものに○、不適切なものに×をつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 遠足の前に、色画用紙のお弁当箱に、おにぎりとおかずの絵を貼って、自分のお弁当をつくることになったので、男児には青、女児にはピンクの画用紙を配った。
B ままごとコーナーで、男児がお母さん役になって、人形をおんぶしてごはんを作っていたので、お父さん用のネクタイとカバンを渡した。
C 5歳児クラスでサッカーチームを作ることになり、子どもたちで話し合いをした結果、男児のチームと女児のチームとなった。保育士はその状況を見守っていた。
D 製作活動で「おうち」を作ることになったので、男児には木工で家の柱や壁をつくるように、女児には紙細工でお花やテーブルクロスなどの部屋の装飾品を作るように指導した。
E 「泣いた赤鬼」の劇遊びで、ある女児が「鬼」の役をしたいと言ったので、クラスのみんなに相談して決めた。
A B C D E
1 ○ × × ○ ×
2 × ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○ ×
4 × ○ × ○ ○
5 × × ○ × ○
問8 保育士においては、「子どもに、身体的苦痛を与え、人格を辱めることのないようにすること。」が求められ、保育所保育指針の「保育の方法」にも述べられている。次の事例のうち、保育士の言動として適切なものに○、不適切なものに×をつけた場合の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 子どもの保護者に保育材料として用いるはがきを持参することを依頼しておいたが、保護者が持参するのを忘れたので、その子だけ別室で、積み木で遊んでいるように指示した。
B 給食の時間に、2人の男児がふざけていたので注意をしたが、それでも止めないので、みんなに迷惑になるため、その2人を別々に部屋の隅に正座させて、給食が終わるまで反省するように注意した。
C パジャマに着替えるとき、子どもの身体に不自然なあざがたくさんあったが、親が迎えに来ると、子どもは親の言うことを素直に聞いており、普段と変わった様子もないので、気にせずそのままにしておいた。
D 幼い子どもは、言葉で注意してもわからないので、場合によっては体罰も効果がある。
E 子どものしつけでは、体罰は絶対に許されない。
A B C D E
1 ○ × × ○ ×
2 × ○ ○ × ○
3 ○ × ○ × ○
4 × ○ × ○ ×
5 × × × × ○
問9 「保育所保育指針」第1章「総則」の「保育の環境」の一部である。( A )?( E )に当てはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
保育の環境には、保育士や子どもなどの( A )環境、施設や遊具などの物的環境、さらには、自然や社会の( B )などがある。そして、( C )、物、場が相互に( D )し合って、子どもに一つの環境( E )をつくり出す。
A B C D E
1 保育 環境 子ども 影響 状態
2 人的 事象 人 関連 状況
3 人間 現象 人 連携 設定
4 人的 事象 子ども 関係 状態
5 人間 環境 人 関連 状況
問10 【I群】の記述は「保育所保育指針」の「第3章6か月未満児の保育の内容」から「第10章6歳児の保育の内容」までの中の「保育士の姿勢と関わりの視点」の一部である。【II群】の発達過程の区分順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【I群】
ア 友達と一緒に行動することに喜びを見出し、一方で、けんかをはじめ人間関係の葛藤にも悩むときであり、したがって集団生活の展開に特に留意する必要がある。
イ 次第に睡眠と覚醒のリズムを整え、健康な生活リズムを作っていく。また特定の保育士の愛情深い関わりが、基本的な信頼関係の形成に重要である。
ウ 歩行や言葉の獲得に向けて著しく発達するので、一人一人の欲求に答え、愛情をこめて、応答的に関わるようにする。
エ 様々な遊びが大きく発展するときで、特に一人一人がアイデアを盛り込んで創意工夫をこらす。・・・(中略)・・・保育材料をはじめ様々な環境の設定に留意する必要がある。
オ 自我がはっきりしてくるものの、それをうまく表現や行動に表すことができないところもあり、一人一人の発達に注目しながら、優しく受け止める配慮を欠かしてはならない。
カ 歩行の確立により、盛んになる探索活動が十分できるように環境を整え、応答的に関わる。
キ 社会性がめざましく育つことに留意しながら、子どもの生活を援助していくことが大切である。
ク 模倣やごっこ遊びの中で保育士が仲立ちすることにより、友達と一緒に遊ぶ楽しさを次第に体験できるようにする。
【II群】 A 6か月未満児 B 6か月から1歳3か月未満児 C 1歳3か月から2歳未満児
D 2歳児 E 3歳児 F 4歳児 G 5歳児 H 6歳児
A B C D E F G H
1 イ カ ウ ク オ ア エ キ
2 イ ウ カ オ ク キ エ ア
3 ウ イ カ ク オ ア キ エ
4 イ ウ カ ク オ ア キ エ
5 ウ イ カ オ ク ア エ キ
問11 「保育所保育指針」第11章「保育の計画作成上の留意事項の「3歳以上児の指導計画」について記されたものである。( A )?( E )に当てはまる語句の正しい組み合わせと一つ選びなさい。
3歳以上児については、第7章から第10章までに示す事項を基に、具体的な( A )と( B )を適切に指導計画に組み込むこと。組など( C )での計画が中心となるが、( D )の子どもが( E )を発揮し、主体的に活動ができるように配慮すること。
A B C D E
1 ねらい 内容 集団生活 一人一人 自己
2 活動 経験 一斉保育 一人一人 自主性
3 ねらい 経験 集団生活 集団 力
4 経験 内容 設定保育 一人一人 個性
5 活動 遊び 設定保育 集団 自己
問12 「乳幼児の保育に関する相談・助言」について、「保育所保育指針」第13章に記述されているものである。( A )~( F )に当てはまる語句を、【I群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
相談・助言に当たっては、利用者の話を( A )し、( B )し、( C )の確立を基本として、一人一人のニーズに沿って利用者の( D )を尊重するなど、相談の基本原理に基づいて行うことが求められる。また、( E )の保護、話された事がらの( F )には、特に留意しなければならない。
【I群】(1) 受容 (2) 個人差 (3) プライバシー (4) 権利 (5) 傾聴 (6) 義務 (7) 秘密保持 (8) 説得 (9) 依存関係 (10)自己決定 (11)信用 (12)相互信頼関係 (13)記録 (14)情報 (15)人権
A B C D E F
1 (1) (8) (11) (15) (3) (2)
2 (13) (7) (4) (15) (14) (3)
3 (5) (1) (12) (10) (3) (7)
4 (11) (5) (6) (4) (2) (7)
5 (5) (13) (9) (6) (10) (14)
問13 ある保育所で、子育て相談に来所した保護者へ対応した保育士の言動の記述である。保育所の保育士として適切な対応を〇、不適切な対応を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 2歳児の偏食について悩んでいる保護者に対して、即座に保育所の給食の中で子どもに好まれるいくつかの「献立とその作り方」の印刷物をわたして、家で作るようにすすめた。
B 「イヤ、イヤ」を連発する1歳児のわが子について、他の子どもと比較して異常にわがままなのではないかと心配している保護者に対して、保育士は、3歳までのしつけが大切であり、今までよりも厳しくしつけるよう助言した。
C アトピー性皮膚炎の子どもに除去食を実施している保育所であることをホームページで見たという保護者から、どのように除去食をすすめていったらいいかの相談を受けたので、医師の診断をまず受けることを助言し、その上で必要があればいつでも来園するように伝えた。
D 緊張感からか、なかなか話し出さない保護者だったため、保育士は担当クラスの子どもの連絡帳を直接見せながら、相談を進めた。
E 言語や人への関心などで気になることがあり相談にきたという保護者は、話を聞いているうちに、すでに専門機関との関わりをもっていることが明らかになったので、断続して専門機関とは関わりをもちながら、保育所の園庭開放や親子参加の活動などを紹介することとした。
A B C D E
1 ○ × ○ ○ ○
2 × ○ ○ × ○
3 ○ ○ × × ×
4 × × ○ × ○
5 ○ × ○ × ○
問14 保育所と幼稚園に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 保育所に最も関係する法令は、社会福祉法であり、その第39条に「保育所は、日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする」と示されている。
B 保育所は児童福祉法に基づく児童福祉施設であり、幼稚園は学校教育法に基づく学校である、両者は所管や機能を異にするので、施設の共用は一切認められていない。
C 保育士となる資格を有する者が保育士となるには、就職を希望する保育所が存在する市町村に、あらかじめ保育士の登録をしておかなければならない。
D 幼稚園に入園することのできる者は、満3歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児である。
E 保育所における保育士の数は、原則乳児おおむね3人につき1人以上、満1歳以上満3歳に満たない幼児おおむね6人につき1人以上、満3歳以上満4歳に満たない幼児おおむね20人につき1人以上、満4歳以上の幼児おおむね35人につき1人以上としている。幼稚園では、1学級35人以下としている。
A B C D E
1 ○ ○ ○ ○ ×
2 × ○ ○ ○ ○
3 × × × × ○
4 ○ × × ○ ×
5 × × × ○ ×
問15 家庭的保育等事業についての記述である。内容が適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 増大する低年齢児の保育需要に対し、応急的入所待機対策として、保育者の居宅で少人数の低年齢児の保育を行う事業及び保育所が保育者に対し相談・指導を行う等の連携を図る事業からなる家庭的保育等事業を行う。
B 対象となる児童は、(1)日々保育に欠ける低年齢児(3歳未満の児童)であること、(2)家庭的保育を行う者と2親等以内の親族関係にないこと、の要件を満たしている者である。
C 「家庭的保育者の要件」として「保育士または幼稚園教諭の資格を有すること」とある。
D 「家庭的保育者の要件」として「保育する児童の人数は、3人以下であること」
E 「家庭的保育者の要件」として「保育時間はおおむね6時間とし、延長保育に対応できること」とある。
A B C D E
1 ○ × ○ ○ ○
2 ○ × × ○ ×
3 × ○ ○ × ×
4 × ○ × ○ ×
5 ○ × ○ × ○
問16~問19 保育所保育指針第13章の「職員の研修等」の一部である。これについて問16~問19に答えなさい。
保育所に求められる質の高い保育や入所児童の多様な保育ニーズへの対応並びに( A )等のサービスは、職員の日常の自己学習や保育活動での( B )及び研修を通じて深められた知識、技術並びに人間性が実践に反映されることにより確保できるものである。所内研修、派遣研修は、保育所の職員体制、全体的業務などに留意して、体系的、計画的に実施する。また、( C )は職種別あるいは保育所全体で個々に主体的かつ( D )に実施する。
問16 ( A )に当てはまる正しい語句を一つ選びなさい。
1 乳児保育 2 子育て支援 3 延長保育 4 相談 5 預かり保育
問17 ( B )に当てはまる正しい語句を一つ選びなさい。
1 反省 2 努力 3 練習 4 経験 5 生活力
問18 ( C )に当てはまる正しい語句を一つ選びなさい。
1 反省 2 話し合い 3 分析 4 採点表 5 自己評価
問19 ( D )に当てはまる正しい語句を一つ選びなさい。
1 定期的 2 意欲的 3 必要に応じて 4 分析的 5 強制的
問20 【I群】のA~Eの人物と、【II】のア~オの語句とを結びつけるとき、正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【I群】 A 筧雄平 B 渡辺嘉重 C 近藤真琴 D 和田実 E 佐藤信淵
【II群】 ア 慈育館 イ 博覧会見聞録別記 子育(て)の巻き ウ 子守教育法
エ 農繁期託児所 オ 幼児教育法
A B C D E
1 ア オ イ ウ エ
2 ウ エ ア オ イ
3 イ ア ウ エ オ
4 オ イ エ ア ウ
5 エ ウ イ オ ア
↓ ↓ ↓ 解答をチェック ↓ ↓ ↓
問1.4 問2.5 問3.2 問4.4 問5.4 問6.3 問7.5 問8.5 問9.2 問10.4
問11.1 問12.3 問13.4 問14.5 問15.2 問16.2 問17.4 問18.5 問19.1
問20.5