聴いてもらえてないと、感じています
ある日の朝のことです。
ひとりの保護者が、子どもを預けるとき、こんなことを言ったとします。
「こどもが、夜中に何度も起きて~今朝は眠いわ~。」
子どもを預かった保育士さんは、
「そうなんですか~。●●ちゃん、お熱とかは、ないですか~?」
と、保護者に質問しました。
保護者は、とくに体調は問題ない旨を伝えると、振り返りつつ仕事へ向かいました。
ここまでのやり取りに、特に問題はなさそうに見えますが、この保護者は、なんとなくモヤモヤしています。
さて、なぜだと思いますか?
その理由は、話を聴いてもらえなかったからです。
相手の聴いて欲しいことを受け止めるコミュニケーション
聴き上手な人だったら、この保護者の話をこんな風に受け取ります。
「そうだったんですか。何度も起こされちゃって、眠いんですね・・・。」
まず、保護者の最も聴いて欲しい「眠い」という部分をちゃんと受け止めています。
さっきの返事とは、まったく違います。
お子さんの体調についての、情報収集は、確かに大事ですが、これは、保育士の聞きたいことであって、保護者の聴いて欲しいことではなかったのです。
まず、相手の聴いて欲しいことを受け止めてから、こちらが知りたいことを質問すれば、遅くはないですね。
「眠い」という気持ちをきちんと受け止めてもらえた保護者は、この保育士を信頼して、安心して仕事へ向かうことができます。
これは、どんな人とのコミュニケーションでも使える、テクニックです。
≪井上きき 役に立つ話 2012年5月15日号≫
-
コミュニケーション講師 井上きき
コミュニケーションを学んでみてわかったこと 6年ほど勤めた商社を退職しようと思ったのは、子どもを持ち、育てながらも、続けて行ける仕事を持ちたかったから。 ちょうど、「コーチ」という生き方を知ったのもこ ...
続きを見る