めぐみ先生の保育コラム

新・保育所保育指針「全体的な計画の作成」とPDCA

平成29年3月に「保育所保育指針」の内容が改定され、平成30年4月より施行されています。

今回の改定で新たに示されたのが「全体的な計画の作成」。

 

全体的ってどこからどこまで?

計画は以前から作成したいたけど、何が違うの?どうやるの?

 

今回は、「全体的な計画の作成」とカリキュラム・マネジメントの考え方についてお伝えします。

 

新・保育所保育指針で新たに取り入れられた視点

 

平成30年より施行されている保育所保育指針の中では、保育所は子どもの「育みたい資質・能力」と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を意識し、発達や生活内容を見据えた「全体的な計画」を作成すべきことが記載されています。

 

さらに、子どもの家庭環境、地域の実態、保育時間を考慮し、長期的見通しをもって作成されるべきとも示されているのです。

 

幼稚園教育要領の中では「カリキュラム・マネジメント」という言葉が使われていますが、保育園でも同じような視点を持ち、保育計画を作成すべきという視点が追加されたのです。

 

全体的な計画を考えるには、PDCAサイクルが重要

「全体的な計画」を確立するためには、園全体がPDCAの体制を整える必要があります。

 

PDCAサイクルとは、業務の維持向上のために継続的に「改善」や「向上」を行っていくことです。

 

PLAN(計画)

DO(実行)

CHECK(評価)

ACT(改善)

 

それぞれの頭文字をとって、「PDCAサイクル」と呼ばれ、事業計画の中でよく使われています。

 

保育業務の中のPDCAサイクル

 

◇P(計画)は、保育課程や年間計画のことです。

目標とする子どもたちの姿から逆算して考えます。年度末にその子がどのような姿になっていることが望ましいのかを考え、そのためにはどのような経験や保育者のサポートが必要であるかを定めます。

 

◇D(実行)は、日々の活動や行事を行うことを指します。

Pで決めた目標・計画をしっかりと理解し、保育にあたりましょう。計画の理解が十分にできていないと、行き当たりばったりの保育になってしまいます。同時に、その時の子どもの状態を見て柔軟に計画を変更していく力も必要です。

実行が終わったら、記録を取りましょう。子どもたちの姿や自分の行動が曖昧にならないうちに、記録を残すことで次に活かすことができます。

 

◇C(評価)は、自己の振り返りやミーティングのことです。

Dの内容が計画通りにできたか、目標を達成することができたかを評価します。行事の場合は、予算内で準備ができたかなども評価の対象となります。ここで注意すべきことは、自分1人の主観で評価をしないこと。園内ミーティングや面談の際に上司や他の保育士に伝え、客観的な視点で評価を受けましょう。

 

◇A(改善)は、振り返りやミーティングでの評価をもとに全体の見直しを行う段階です。

次に同じ活動を実施する時は目標の見直しが必要か。目標は子どもたちの姿に合っていたか。Dの段階で別の手法のほうが良かったのではないか……etc。

Cと同様に、なるべく多くの視点を取り入れて改善策を考えるのが良いでしょう。もし、すべてが計画通りにできたとしても「他の活動やクラスに影響がなかったか」「実行する上で自分自身への負担はどれくらいだったか」など、多角的な視点で全体を捉え直すことが大切です。

 

体的な計画を行うことで保育が充実する

全体的な計画を作成することは、保育士自身の成長に繋がるだけでなく、子どもたちに寄り添った保育ができると言われています。また、保護者や社会に対して保育内容を説明したり子どもたちの育ちを説明する際の資料にもなります。

 

ぜひ、日々の活動や行事をPDCAに当てはめて考えてみてください。

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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