コミュニケーションがうまくいかなかったり、行動が他の子に比べて遅いことが目立ったり、発達が気になる子どもたちと関わる時、保育者はその子の特性をよく理解して適切な対応をする必要があります。
今回は、そんな子どもたちが落ち着いて過ごすことができるように、どんな環境づくりや関わり方をしたら良いのか5つのポイントをまとめました。
(1)「はじまり」と「おわり」を明確にする
スケジュールの見通しが立たないと、不安になってしまう子がいます。特に、終わりの時間は明確に伝えるようにしましょう。言葉で言っても理解が難しい場合は、時計の針を提示したり、「アラームが鳴ったら終わりだよ」と目や耳で分かるサインを作ってみてください。
音で伝える場合は、大きな音は避けましょう。
(2)視界に情報が入り過ぎないようにする
お集まりの時間や読み聞かせの時など、落ち着いて話を聞く場面では、その子の視界に情報が入り過ぎないように環境を工夫しましょう。例えば、読み聞かせの時はおもちゃ箱の前ではなく保育者が壁を背にして座ったり、隣のクラスの活動が気になって話に集中できない時は少し離れた場所に移動するなど。
(3)活動に集中して取り組めるスペースを設ける
感受性が強く人よりも刺激に敏感である子への配慮として、騒がしい音や物が乱雑に散らかっている場所はストレスになります。なるべく刺激が少ない環境づくりに配慮しましょう。
簡易なパーテーションで周りから見えない目隠しを作るのもおすすめです。
(4)視覚物を使って情報を伝える
絵や写真、人形など目で見て分かる方法で伝える工夫をすると、理解がしやすくなります。
言葉だけで「次は〜をするよ。気をつけることは〜だよ」と伝えてもなかなか理解が難しいので、子どもの特性に合わせて伝え方を検討すると良いと思います。
(5)簡潔で分かりやすい言葉を使う
言葉で伝える時は、いくつも情報が混ざった長い説明や、「あっちのほう」「しっかりやろうね」といった曖昧表現は避けたほうが良いでしょう。また、その場その場で色々な表現を使うのではなく、決まった言葉を使うことで伝わりやすくなります。
1人ひとりの姿に合わせて適切な働きかけを考えていく大切さ
発達が気になる子と向き合う時には、その子に合った手法を探っていくことが大切です。紹介した(1)〜(5)の方法が適切でない場合もあります。
その子の得意不得意や興味に合わせて、最適な働きかけを考えていくことは、毎日その子を見ている保育者だからできることだと思います。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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