離乳食を食べている子どもたちは、食器の中の食べ物に興味津々。食べ物を摘んでみたり、握ってみたり、床に落としてみたり……。大人の視点でみると、手づかみ食べは床やテーブルの掃除が大変というイメージが強いかもしれませんね。しかし、子どもの発達において手づかみ食べはとても大切な行動なのです。
手づかみ食べで育つもの
乳児期の子どもたちは身の回りのものを手で触れて、その物体の情報を脳に送っています。食器の中の食べ物を触りながら、「モチモチしていて、ベタベタするもの(お米)」とか「固くてすべすべ(にんじん)」とか、1つ1つの食材の触感を確かめているのです。
掴んだ食べ物を口に運び、歯でかみ切るという動作も子どもたちにとって学習のポイント。豆腐のように柔らかいものと、にんじんのように硬いものでは噛む力や咀嚼の回数が変わります。もしも大人がスプーンで口の中に食べ物を運んでしまったら、そういった「ちょうど良い咀嚼の仕方」を学習する機会がなくなってしまうのです。
手づかみ食べは、噛む力を育てます。その結果、食べ物を詰め込みすぎたり丸呑みすることが少なくなります。食事への意欲を育てるために大切な動作なので、途中で大人が止めずにできる限り見守りたいですね。
手づかみ食べしやすい形
スティック状の野菜や干し芋などは子どもたちが手で握りやすく、手づかみ食べにもぴったりです。しかし、前歯で噛み切りやすいためどんどん口の中に入れてしまう子もいます。そういう子には、円盤状や四角など形を変えて提供しましょう。
調理のスタッフと連携を取り、1人ひとりの咀嚼に合った形状の食べ物を用意できると、より手づかみ食べがしやすくなり食への意欲が増進するかもしれません。
シートを敷いて掃除も楽に
手づかみ食べをすると、床に食べ物が散らばってしまい掃除が大変になります。事前にテーブルの下に100円ショップ等で売っているレジャーシートを敷いておくと、食事の後の床掃除を手早く済ませることができます。
また、すぐに掃除ができなくてもレジャーシートを内側に折りたたみ、食べこぼしを包む形で避けておくことができます。子どもたちが眠っている時などに落ち着いて掃除ができるのでおすすめの方法です。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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