「常に“もっと”を求めてきたんだよね」
明らかな声で、記憶を振り返るように語るのは、フリーの創作あそび作家 谷口國博さん。
愛称である「たにぞう」の名は、多くの親子や保育関係者に知られている。
がっしりとした体つきから、頼もしさが感じられるたにぞうさんは、保育士として働いていた経験を持つ。
「もともとは幼児体育の先生をしていたんだよね」
その言葉から語られたのは、様々な顔を持つ彼の経歴だ。
「会社勤めで営業職をしていた」こともあるという過去から、創作あそび作家としての活動をするようになった現在まで。
まずは創作あそび作家となったその経緯をうかがった。
1.きっかけはキャンプファイヤー
もともとは幼児体育の先生と、障がい者施設でスポーツを通した体力づくりをする仕事をしていたのね。でも、やっていることが体操の先生っぽくないと言われてきた。
体操の先生としては、組体操などの「発表するため」の体操を求めらるけれど、それが得意ではなかったんだ。子どもたちはあまり楽しんでないんじゃないかと思っていたんだよね。
ほんとはみんながピラミッドのてっぺんになりたいのに、土台にならなくちゃいけない子もいる。そんな写真が残るの嫌だよね?(笑)
そういう子どもたちと出会っていったら「“もっと”面白い体操がなきゃいけない」と思った。
そのうちに、いろんな保育の活動をされている人が世の中にいることを、他の先生たちから教えてもらったんだ。
その仕事を辞めようと思ったのは、アウトドアが好きで、「“もっと”世の中のあそびを知りたい」と思ったから。それでお金がたくさんもらえるようなサラリーマンになったんだけど、やってみたら「違う。そうじゃない」と思った。「“もっと”他にできることがあるんじゃないか」と思ったんだよね。
そう考えているうちに、保育園の先生たちのキャンプに呼ばれるようになったんだ。そこでキャンプファイヤーの歌を歌うように頼まれたのね。そういうの大の得意だから、2年くらい続けたんだ。そこで保育園の仕事に誘われたんだよね。