保育士向けの借り上げ社宅制度って?
近年、東京や神奈川といった大都市を中心に、保育士や保育従事者向けの借り上げ社宅制度(正式名称は「保育士宿舎借り上げ支援事業」といいます)を利用できる保育園が増えてきました。社宅と聞くと、高校や大学の部活動の寮のような環境を想像する方も多いのですが、ほとんどの場合、ワンルームマンションに住むことができます。
また、ほとんどの自治体で月額82,000円以上の補助が出るため、中には家賃0円で家を借りることができている保育者の方もいます。
今回はそんな【借り上げ社宅制度】について詳しく解説していきましょう。
借り上げ社宅制度の対象となる方は?
自治体によって異なる部分はありますが、常勤職員として保育園などに雇用されている主に独身の単身者やシングルマザー、シングルファザーなどといった世帯主の方が対象となります。
なお、世田谷区や横浜市などの一部の自治体では、住居の中に保育士がいればOKといったルールとなっている自治体もあり、旦那様が世帯主となっている場合や、彼氏・彼女と同棲、友人とルームシェアをする場合でもこの制度を利用できることもあります。
区市町村によって異なりますが、「認可保育所」、「認証保育園(認定保育室)」、「事業所内保育所」、「小規模保育所」、「認定こども園」などの施設がこの制度の対象となっています。
現在は「病院内保育所」や「学童・児童館」などが対象外となっていることがほとんどですが、将来的にはこういった施設形態も含まれていく可能性があります。
なお、対象職種として以前は「保育士」、「看護師」が一般的でしたが、近年では保育従事者という文言が追加されて「施設長」、「栄養士」、「調理スタッフ」、「保育補助(無資格の方も含む)」を対象とする自治体が増えてきました。
しかしながら、自治体がOKとしていても、保育園側が保育士や看護師のみを対象としてることが多いです。栄養士や調理師の方が利用できるケースは少なく、無資格の方の場合は利用できないことがほとんどです。
ただ、タイミングによってはそうした方でも受け入れ可能な保育園が見つかることもありますので、ご希望の方は一番下のラインか問い合わせフォームよりご相談ください。
住む場所ってどうやって決まるの?
住む場所の決まり方については、大きく分けると3パターンとなります。
一つ目は完全に住む家を自分で探してきて、借主となる保育園に借りてもらう方法です。金額の上限や園からの距離などの規定がある場合もありますが、基本的には自分が住みたい家を選べることが最大のメリットです。
デメリットとしては、住居探しの手間が発生してしまう事が挙げられます。借上げ社宅制度を活用する方の多くは遠方に住んでいる上に直前まで通学していたり、前の職場に勤務している事がほとんどですので、なかなか大変な作業になります。
二つ目は完全に住む家を法人が決める方法。メリットとしては、完全に住む家を決めてもらうことができる為、家探しの労力はなくなります。
また、ある程度知識のある方に選んでもらうことができるので、立地や間取りの部分でも安心して住むことができます。
例えばある保育園さんでは、一人暮らしの女性が安心して快適に生活できるように【バス・トイレ別】、【2F以上】、【オートロック】といった条件を兼ね備えている部屋のみを選ぶようにしているようにしています。
デメリットとしては、自分で部屋を選べないこと。例えば線路や大きな道路のそばだと音が気になるといった方は、少し大変かもしれません。
三つ目は法人が提携している不動産会社に希望条件を伝えて、その条件に合った物件をいくつか提案してもらう方法です。メリット・デメリットの部分は一つ目と二つ目の間を取った感じになります。
自治体ごとの制度の違い
各自治体によって異なる支援内容とその対象。今回は例として4つの自治体についてご紹介します。
世田谷区
早くから単身者に限らずファミリー世帯や同棲、シングルマザー、シングルファザーの方にも大きく間口を広げています。また、保育士や看護師、栄養士以外にも、施設長、保育補助者、調理員も対象にしています。
ですが、先にお伝えした通り、家族要件や資格要件については、園や法人単位で個別に対象外としているケースも多くあるので注意が必要です。
足立区
世田谷区との違いとしては、住宅補助の対象となる方が世帯主かそれに近い方ではないといけないという点です。これにより、夫や同棲相手の収入が高い場合は借り上げ社宅制度の対象外となってしまう可能性が高くなります。
また、資格要件は保育士・看護師・栄養士に限定されています。
ただ、足立区のメリットとしては、保育士の方向けの【奨学金返済支援】という奨学金を貸し付けるのではなく、借り入れ済みの奨学金の返済を足立区が支援してくれるといった制度があります。
この制度は、特に保育士志望の新卒学生の方にとっては嬉しい制度だと言えます。
船橋市
市のサイトであの「ふなっしー」が宣伝していますが、船橋市にも借り上げ社宅制度が存在しています。船橋市のメリットしては、保育士さんに給与の上乗せとして月額32,110円、期末手当71,460円(合計年額456,780円)【⇒2019年4月に確認したところ、月額42,220円、期末手当73,560円(合計年額580,200円)に変更となっておりました。】の【ふなばし手当】という補助金が存在します。都内と比べると多少給与水準は低い地域ですが、この手当で逆転している求人が最近増え始めております。
他の自治体と比較した際のデメリットは、現在の船橋市の規定では保育士のみが対象となっており、私立保育園・認定こども園・小規模保育事業所といった国の認可事業のみが対象となっておりますので、認証保育所や保育ママなどにも枠を拡充している東京23区の一部の自治体と比べると、制度の対象者が限定的になってしまっています。
港区
港区の最大のメリットとして、区内在住の方に対しては月112,000円までの補助が出ます。(※2019年2月現在の情報では、98,000円となっているようです。)
ちなみに2019年4月現在で渋谷区は月100,000円の補助が出るようです。
しかし、他の区などでも保育園を運営している事業者の場合、区によっての不公平が生じてしまう為、一律で82,000円に水準を合わせている場合がありますので注意が必要です。
上記以外にも、様々な自治体で借り上げ社宅制度が実施されています。
しかし、本文中で何度かお伝えしましたが、ファミリー世帯や同棲の方、また、施設長や調理員さんなどの職種は保育施設側の就業規則で住宅手当の対象外としていることが多くあります。
また、保育施設によっては満額の82,000円ではなく、自己負担が発生する可能性もあります。
借り上げ社宅制度がなくなる!?
本記事では借り上げ社宅制度の魅力をお話ししてきましたが、残念ながら2021年(令和3年)3月でこの制度がなくなる可能性が高まってきました。
既に借り上げ社宅制度を活用して東京などで働いている方も多い為、区市町村単位で続けるところも出てくるかとは思いますが、これまでのような水準を確保することは難しく、続けたとしても段階的に補助金額を下げていくことが想定されます。
『保育パートナーズ』を運営しているキャリア・パートナーズ株式会社では、そのような状況でも東京近郊で働きたい保育士を支援するため、社宅制度が終わった後も住宅手当が手厚い保育園のご紹介を無料でおこなっております。
補助金額が高い保育園ほど求人枠が早く埋まっていくことが予想されますので、ご希望の方はお早めにご連絡をいただけますと幸いです。
ご状況とご希望をお伺いした上で就業先をご案内していきますので、是非ともLINEに友達登録をしていただいてメッセージを送信(初めに「借り上げ社宅について」とお書きいただけると助かります)していただくか、下記応募フォームよりお気軽にご相談ください。
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