非公開で扱われることが多いためあまり知られてないですが、首都圏を中心に園長募集の求人が増えています。
今回は、その背景や、意外と知らない仕事内容、気になるお給料や、現役で園長として働いている方に聞いたお話しなど、様々な面から園長先生の姿について掘り下げていきます。
保育園の園長募集が増えた理由
保育施設数が急増
近年、祖父母と離れて暮らす核家族化が進んでいることや、働く女性が増えたため、保育園の需要が高まり大都市やその近郊で新規開園が続いています。
新園を作る際は全体を統括する管理職が必要となり、それに伴って園長や主任といった募集が出てきます。
本来であれば、系列施設の中から登用できるのがベストですが、現在は多くの園でキャリアのある保育士が不足しており、内部での異動がなかなか難しい状況です。そのため、既存園の保育の質を落とさないためにも、施設長についてはあえて外部から採用する法人が増えてきています。
多様化する施設形態
認証保育所や小規模認可保育室、院内・事業所内保育室など、新しい施設形態が増えてきました。こうした施設も園長(施設長)を募集しているため、管理職を目指す方にとっては更にチャレンジする機会が広がっています。
チャンスは今だけ!?
様々な予想がありますが、現在のペースで新規開園が続くのは5~10年と言われています。
それ以降は、新しい保育園が増えづらくなり、こうした求人枠も生まれにくくなるため、管理職を目指すなら今が一番のタイミングと言えるでしょう。
保育園の園長の仕事内容
園長の仕事内容は多岐に渡ります。法人によっては主任や本部が行う仕事も含まれていますが、今回は一般的に任される可能性の高い仕事を紹介していきます。
◎園全体の調整
園長の一番大事な仕事は、園全体の運営を円滑にまわすことです。
具体的にはクラスごとの職員配置を考えたり、悩みを抱えている職員のフォローを行ないます。
◎経営管理
経営についてすべてを委ねられることはほぼありませんがが、資金管理の一部については任されるケースがあります。
園で使う備品の購入や、研修の交通費の清算などの小口現金の管理については、ほとんど園長の仕事になるがことが多いようです。
◎地域や行政との連携
運動会で小学校の校庭を使用するための交渉や、行政への各種報告も園長の役目です。
この他にも、職員が足りない時に保育に入ったり、園のスムーズな運営のために本部と連携を取ったりと様々な業務が存在します。
保育園 園長インタビュー
今回は、今年の4月で認可保育園での園長として3年目を迎えたKさん(40代)にお話しをうかがいました。
-これまでのキャリアを教えてください
Kさん:長野の短大を卒業し、5年間は自宅からすぐの社会福祉法人の保育園で勤務していました。その後、結婚を機に東京に移り一度は保育の仕事を離れたものの、やっぱり現場が恋しくなり、息子が小学校に上がったタイミングで株式会社の保育園に復職しました。
-園長になったきっかけは?
Kさん:年齢と経験を重ねるにつれ、若い方から様々な相談を受ける機会が増えました。 そうした悩みを聞きながら一緒に解決していく中で、自分に対して自信がつき始めていた頃、当時在籍していた会社の本部から主任登用の声がかかりました。少し悩みましたが、せっかくの機会だと思い、そこで2年間主任を務めました。そのうちに自らの園を持ってみたいという気持ちが強くなってきて、転職活動を始めた矢先に、今の会社からオープニング園の園長としてのお誘いをいただいたことがきっかけです。
-今の仕事のやりがいは?
Kさん:オープンしてから今年で3年目を迎えた保育園ですが、毎日が新しいことの連続で常に学び続けることが出来ています。園の中の環境も日々変わっていくので、今でもみんなで協力しながら発想を出しあって保育園を作り続けている感じです。
-正直、辞めたいと思った事は?
Kさん:最初の頃はかなり頻繁にありました(笑) 園長と保育士という立場の違いから衝突もあり、なかなか溝が埋まらずに職員達から距離を置かれることもありました。
ですが、真剣に一人ひとりの職員と向き合っているうちに、お互いの信頼を深めることができ、今ではとても良好な関係を築けています。本当にあの時ムキになって「辞めます!」って言わなくて良かったなって思っています。
-これから園長を目指す方に一言お願いします!
Kさん:決して楽ではない仕事ですが、その分、たくさんの方に感謝されることも多く本当にやりがいの溢れる仕事です。 私自身、学生時代や新卒の頃は引っ込み思案な性格だったため、昔の友達に園長をしていることを言うとみんな驚きますし、自分でもたまに不思議に感じたりもします。
最後はご縁だと思いますが、少しでも興味があれば是非ともチャレンジしてみてください。
~保育業界ミニコラム 保育園の園長のお給料~
株式会社の園長の募集内容を見ていると、初任給で月収270,000~320,000円くらいが相場となっています。意外と安く感じる方もいるかと思いますが、園長は昇給の幅も大きく、経験を積んだ数年後には月収で400,000円以上になっていることもあります。
社会福祉法人の園長職については、基本的に現場からのキャリアアップとなるケースが多い為、ほとんど求人が出てきません。ただ、それでも稀に募集がかかった際は、月収で500,000円以上といった募集内容となることもあり、競争率が非常に高くなります。
こうした求人枠は競合がとても多く、目安として最低でも主任で15年、園長で5年程の経験が必要となる可能性が高いため、目指す方は転職も視野に入れながら早い段階から管理職にチャレンジしていくことが最大の近道となるといえるでしょう。
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただいた方が、少しでも園長職に興味を持っていただく事が出来たとしたら幸いです。
『保育パートナーズ』を運営するキャリア・パートナーズ株式会社では、ご相談に乗りながら園長や主任等、管理職のお仕事を紹介するサービスもおこなっています。
非公開の求人も多くありますので、ご希望の方は是非とも下記のフォームよりお問い合わせください。
※本記事は『保育パートナーズ通信 vol.6 (2016年8月1日発行)』のコラムページに加筆・修正を加えたものです。最新の記事をご覧になりたい方は、無料で年4回(2,5,8,11月)ご自宅に郵送しておりますので、会員登録の上、メールにて購読希望の旨をお知らせください。
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