保育士試験

2006年度保育士国家試験 小児栄養

 

平成18年度 小児栄養

 

問1 次の文は、「平成15年国民健康・栄養調査報告」に関する記述である。 適切な記述を一つ選びなさい。

1 「平成15年国民健康・栄養調査報告」では、世帯単位の栄養状況と年齢階級別栄養素等摂取量の把握が可能である。

2 1~6歳の、総脂質の総エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率)は、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」の目標量の上限値を超えている。

3 三大栄養素を、エネルギーの栄養素別摂取構成比の大きい順に並べると、1~6歳においては、脂質、炭水化物、たんぱく質となる。

4 食塩の摂取量は、1~6歳においても、すでに15?19歳とほぼ同じである。

5 1~6歳の、たんぱく質の摂取量に占める動物性たんぱく質の割合は、男女共に50%以下である。

 

問2 次の文は、栄養素の消化・吸収についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい

A 摂取された糖質は、少糖類の形で小腸から吸収され、門脈を通って肝臓に送られる。

B 摂取された脂質は、おもに膵液中の脂肪分解酵素(リパーゼ)の作用により、小腸内で分解されて吸収される。

C 摂取されたたんぱく質は、胃酸と胃液のたんぱく質分解酵素(ペプシン)の作用でプロテオースやペプトンに分解される。

D 難消化性オリゴ糖は、大腸に未消化のまま到達し、メチオニンにより分解されて生理機能を発現する。

E 摂取後すぐに利用されない糖質は、麦芽糖や脂肪に変化してエネルギー貯蔵物質として蓄えられる。

1 AB  2 BC  3 CD  4 DE  5 AE

 

問3 次の文は、乳幼児の消化・吸収・代謝についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 新生児期は唾液の分泌は少ないが、生後1週ころから次第に増加する。唾液の分泌量とともに、唾液中のマルターゼも増加する。

B ラクターゼの活性は、出生時には成人レベルに達しているといわれ、乳汁中のショ糖の消化吸収に役立つ。

C 水分はおもに大腸で吸収される。

D 胆汁酸には、脂肪の乳化作用がある。

E 乳幼児期には、体重1kgあたりに必要なエネルギーやたんぱく質は大人より多い

1 ABC  2 BCD  3 CDE  4 ADE  5 ABE

 

問4 次の文は、栄養素についての記述である。適当な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A たんぱく質は、筋肉や臓器などの身体構築材料、酵素やホルモンなどの主成分となる以外にも、糖質や脂質が不足した場合にはエネルギー源としても利用される。

B 野菜などに含まれるセルロースやリグニンなどは水溶性の食物繊維であり、果物に含まれるペクチン、こんにゃくに含まれるグルコマンナンなどは不溶性の食物繊維である。

C 脂質はエネルギーとなる場合、糖質に比べビタミンB1の節約ができる。

D でんぷんは、ブドウ糖が多数直鎖状に統合したアミロペクチンと、分枝状に統合したアミロースの2種類に分けられる。

E 脂溶性ビタミンは、過剰に摂取した場合、肝臓に蓄積され過剰症を起こすことがある。

  A B C D E
1 ○ × ○ × ○
2 ○ × × ○ ○
3 ○ ○ ○ × ×
4 × ○ ○ ○ ×
5 × ○ × ○ ○

 

問5 次の文は、無機質、ビタミンについての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A カルシウムは、筋肉の収縮、神経伝達に関与する。

B 亜鉛が欠乏すると味覚障害が起こることがある。

C ビタミンEは、腸管からのカルシウムの吸収を促進する。

D 受胎前後の十分なヨウ素の摂取は、神経管閉鎖障害の発症リスクを低下させる。

E ビタミンCは、コラーゲンの生成と維持に関与する。

  A B C D E
1 ○ × ○ × ○
2 × × × ○ ○
3 ○ ○ × × ○
4 × ○ × ○ ×
5 × ○ ○ ○ ×

 

問6 次の文は、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 5歳までの年齢区分は0~11か月、1~2歳、3~5歳である。

B 母乳栄養児と人工乳栄養児の推定エネルギー必要量は異なる。

C 1~5歳までの年齢区分において、総脂質の総エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率)の目標量は、20%以上30%未満である。

D 5歳以下の年齢区分において、ビタミンB1の食事摂取基準には上限量が設定されているが、ビタミンCの食事摂取基準には上限量は設定されていない。

E 母乳栄養児と人工乳栄養児の鉄の食事摂取基準は同じである。

  A B C D E
1 × ○ ○ × ×
2 ○ × ○ × ×
3 × × × ○ ○
4 ○ ○ × × ×
5 × × ○ ○ ○

 

問7 次の文は、妊娠期の栄養・食生活についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 妊娠中の至適体重増加量は、妊娠前の体重にかかわらず一律である。

B 妊娠時の鉄欠乏性貧血では、吸収率の高い非ヘム鉄を含む赤身の魚、肉など摂取して鉄量と同時に脂肪の摂取量を増やす。

C 妊娠中の体重増加が過剰な場合には、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や妊娠糖尿病を発症しやすい。

D 妊娠糖尿病では、1日の摂取エネルギーが同じ場合、食事回数は3回より4回以上の方が血糖値の変動幅は小さい。

E 「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、妊娠中のカルシウム付加量は300mg/日である。

1 AB  2 BC  3 CD  4 DE  5 AE

 

問8 次の文は、授乳期の栄養・食生活についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、授乳婦の授乳期間を6か月間、1日の哺乳量は600mlとして算出されている。

B 「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、授乳婦の推定エネルギー必要量の付加量は、妊娠末期の付加量より多い。

C 「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、授乳婦の鉄の付加量は、妊娠末期の付加量より少ない。

D 授乳婦の長期の飲酒や飲酒量の増加により、プロラクチンの分泌量も増加して泌乳量は減少する。

E 乳児の傍らでの喫煙は、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症と関係することが知られている。

1 AB   2 AD  3 BC  4 CE  5 DE

 

問9 次の文は、母乳についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 初乳には、たんぱく質、無機質が多く含まれ、各種の免疫物質を含んでいる。

B 射乳ホルモンの働きをするビタミンKは、子宮の収縮を促す働きをしている。

C 母乳には、免疫グロブリンA、ラクトフェリンなどの感染抑制物質が含まれている。

D 母乳には。必須脂肪酸であるリノール酸などの吸収のよい飽和脂肪酸が多く含まれている。

E カゼインは、母乳より牛乳に多く含まれている。

  A B C D E
1 ○ × ○ × ○
2 ○ × × ○ ○
3 ○ ○ ○ × ×
4 × ○ ○ ○ ×
5 × ○ × ○ ○

 

問10 次の文は、“改定「離乳の基本」”(厚生省(現厚生労働省)、1995)についての記述である。適切な組み合わせを一つ選びなさい。

A 離乳の開始とは、初めて粒のある食物を与えたときをいう。

B 離乳の開始後ほぼ1か月間は、離乳食は1日1回与える。離乳食のあとに母乳または育児用ミルクを児の好むまま与える。

C 生後7~8か月児の離乳食は1日3回にし、歯ぐきでつぶせる固さのものを与える。

D はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため満3歳までは使わない。

E 離乳が進むにつれ、卵は卵黄から全卵へ、魚は白身魚から赤身魚へと進めていく。

1 AB  2 AC  3 BE  4 CD  5 DE

 

問11 次の文は、幼児の咀しゃく機能についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 咀しゃくするために必要な乳歯がすべて生えそろうのは、1歳4か月ごろである。

B 幼児の咀しゃく能力の発達に応じた食事内容に配慮がなされていないことは、偏食や食欲不振の原因となることがある。

C 咀しゃくに必要な乳臼歯の生歯(う歯)や唾液分泌量を考慮して、1?2歳にかけては、やわらかくかみ切りやすい食物だけを与えた方がよい。

D 第1乳臼歯が生えるころには、本格的な咀しゃくができるようになる。

E よくかんで食べる習慣をつけることは、肥満の予防とともに食物の味を覚え、食事の満足感を得るためにも必要である。

1 AB  2 CD  3 DE  4 BE  5 AC

 

問12 次の文は、幼児期の食生活についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 幼児の偏食は、家族の食習慣に影響されることがある。

2 夜遅くまで起きている子どもは、朝食の欠食率が高い。

3 食事の強制が偏食の原因となることがある。

4 孤食では早食いになりやすく、食べ過ぎによる肥満を生じる可能性がある。

5 生活習慣病予防の観点から、「日本人の食事摂取基準(2005年版)では、1?5歳の食物繊維は、18?29歳と同じ目標量が定められている。

 

問13 次の文は、小児の健康管理についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A リンは骨や歯の形成に必要なビタミンであるため、積極的な摂取を心がける。

B 間食には、食事で不足する栄養素を補給する役割と、水分を補給する役割がある。

C 「日本人の食事摂取基準(2005年度版)」では、1~5歳の飽和脂肪酸の目標量(範囲)は、4.5以上7.0未満(%エネルギー)とされている。

D 間食の適量は、一日に摂取する総エネルギー量の20~30%程度が望ましい。

E 「食育基本法」の前文では、「食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」と位置づけている。

  A B C D E
1 ○ ○ × × ○
2 × ○ ○ ○ ×
3 ○ × × ○ ○
4 ○ × ○ × ×
5 × ○ × × ○

 

問14 次の文は、学童期・思春期の食生活についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 思春期の過度な食事制限により、カルシウムの摂取不足が起こると、将来の骨粗しょう症の原因となる場合がある。

2 15~17歳は、急激な発育や運動などの活動のために、たんぱく質必要量が増加し、男女ともに「日本人の食事摂取基準(2005年版)」のたんぱく質推奨量が最大となる。

3 思春期には、買い食いや不規則な間食・夜食の摂取、偏った食品選択などにより栄養素のバランスがくずれやすいので、栄養教育の必要性が高い。

4 「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、推定エネルギー必要量について、身体活動レベルの区分は8~11歳は2区分、12~17歳は3区分である。

5 思春期の神経性食欲不振症では、嘔吐や下痢を繰り返すために、電解質異常をきたすことがある。

 

問15 「学校給食法」にある学校給食の目標として、不適切な記述を一つ選びなさい。

1 日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。

2 学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。

3 食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。

4 食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。

5 学童期の肥満予防と生活習慣病の発症率の低下を図ること。

 

問16 次の文は、小児期の疾病と食事についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 発熱時の水分補給には、白湯、番茶、麦茶、小児用電解質飲料などが望ましい。

2 病気の時には食欲が低下することが多い。回復時には、流動食、かゆなどの半固形食、普通食の順に進めていく。

3 下痢の場合には、脂質や繊維質は胃内滞留時間が短く、消化に時間がかからないので、消化・吸収能力の回復状態に応じて与えることが望ましい。

4 小児の肥満に対する過度の食事制限は、成長障害や食行動異常の危険を伴うことがあるので注意が必要である。

5 小児の下痢症では、胃腸の負担を軽減するため、煮る、蒸すなど消化しやすい調理法を用いることが望ましい。

 

問17 次の文は、小児期にみられる病気と食事管理についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 発熱している場合、体温が1度上昇するとエネルギー必要量は50%増加するといわれている。

B フェニルケトン尿症の食事療法では、フェニルアラニンの摂取を制限する。

C 3歳以上児の肥満は、学童期へ移行することが多いので、食事管理に配慮することが必要である

D アレルギー症状を起こす物質を抗体といい、食品によって起こる場合には、保護者の判断により除去食を行う。

E 乳児の病的でない便秘の場合、かんきつ類の果実やヨーグルトがその改善に効果的であることが多い。

1 ABC  2 ACD  3 ADE  4 BCE  5 CDE

 

問18 次の文は、児童福祉施設の食事の特性を踏まえ、留意しなければならない点に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 乳児院では、大半が授乳と離乳食となるため、食材や調理形態の幅が狭くならないように多様な食品や調理方法を用いる。

2 障害児施設では、それぞれの子どもの心身の発育状況をふまえ、栄養特性に十分に配慮した食事を提供する。

3 児童養護施設では、子ども自らが食事を選択する機会を取り入れたり、調理実習をするなど自立支援の機会を多くもつことが望ましい。

4 保育所では、予定献立や連絡帳を活用し家庭との連携を十分にとる必要がある。

5 多数の乳児を扱っている乳児院の調乳は、衛生的にも安全性が高く、また手数を省くためにも無菌操作法が用いられる。

 

問19 次の文は、児童福祉施設の給食の運営と栄養管理に関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。

1 給食の適正な運営は、法令や通達等を順守して行えば、特に施設全体で関係する情報を共有する必要はない。

2 計画どおりに食事の調理と提供が行われたかの評価は、子どもの栄養状態の評価より、食事摂取量の評価が優先される。

3 食事計画を目標として「日本人の食事摂取基準(2005年版)」を活用する場合には、集団を対象とすることを基本に、集団の習慣的な摂取量を目安量または目標量に近づけることを目指す。

4 エネルギー摂取量の適否は、定期的に身長及び体重を計測し、成長曲線に照らし合わせるなどの観察・評価を行う必要がある。

5 炭水化物の総エネルギーに占める割合は、10%以上20%未満の範囲内を目安とする。

 

問20 次の文は、栄養教育についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

A 個人を対象とした個別教育法の実施形態には、パネルディスカッション、ブレインストーミング、ロールプレイングなどがある。

B 栄養教育の対象者が話したことを、指導者はできるだけ忠実に繰り返して反応することにより、栄養教育の対象者は指導者を自分の話を正確に理解してくれる人として認めるようになる。

C 通常、栄養教育の実践は、計画(Plan)-実施(Do)の2つのくり返しにより完結する。

D 栄養教育におけるカウンセリングの基本的認識として、相手をありのままの姿で受容する「無条件の受容」が重要である。

E 栄養教育の対象者の栄養状態を判定する主な項目としては、臨床診査、栄養素等摂取量調査、身体計測、臨床検査などがある。

1 ABD  2 ACD  3 ACE  4 BCE  5 BDE

 

     ↓     ↓     ↓     解答をチェック     ↓     ↓     ↓

 

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問20.5

 

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