保育士試験

2007年度保育士国家試験 発達心理学

 

平成19年度 発達心理学

 

問1 次の文は、発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A ロック(Locke,J.)の経験論によれば、子どもはタブラ・ラサとよばれる白紙状態で生まれ、その後、性格や能力が形成される。

B 愛着の発達段階説では、特定の人に対して定位や発信を向けるようになるのは、誕生から12週頃の第1段階である。

C 文化が発達に影響することを示そうとしたヴィゴツキー(Vygotsky,L.S.)は、思考の普遍的な発達段階を構築した。

D ワトソン(Watson,J.B.)が主張した行動主義では、発育・発達は人間が統制できると考える。

E 知能の構造は、生物学的な「同化」と「調節」のはたらきによって体制化(均衡化)されるとピアジェ(Piaget,J.)は想定している。

  A B C D E
1 ○ × × ○ ○
2 ○ × × ○ ×
3 × ○ ○ × ○
4 × ○ ○ × ×
5 × ○ × ○ ×

 

問2 次の文は、「保育所保育指針」第3章生後6ヶ月未満児の発達の主な特徴に関する内容の記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 感覚器官を含め、すべての身体発育や行動の発達は子どもが生来持っている機能の発達によることが大きいが、こうした生得的、生理的な諸能力の発達も、その子どもが生活している環境、特に周りの大人との温かく豊かな相互応答的な関係の中で順調に促進される。

B 微笑みも生理的なものから、あやすと笑うなど社会的な意味を持ちはじめるが、大人の働きかけに対して無関心な場合が多い。

C 保育士が、生後3ヶ月頃の子どもをあやすと笑うなどの行動に気づき、感受性豊かに受け止め、優しく体と言葉で応答することにより、子どもは自分がした行動の意味を理解するようになり、特定の保育士との間で情緒的な絆が形成される。

D 眠っている時と、目覚めている時とがはっきりと分かれ、目覚めている時には、音のする方向に向く、見つめる、追視する、一語文や二語文を発するなどの行動が活発になる。

  A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ × ○ ×
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ×
5 × ○ × ○

 

問3 エリクソン(Erikson,E.H)は、人間の育ちを8つの発達段階に分け、第1段階には信頼と不信という心理・社会的危機(発達課題)があると考えた。その説明として適切な記述を一つ選びなさい。

1 乳児は母親に1日に8時間以上抱かれていると、心が落ち着き、母親は私のことを信頼しているのだという感覚を持つようになる。

2 乳児が抱く社会に対する信頼の最初の表れは、乳や食べ物を十分にとり、よく眠り、便通が順調であるということである。

3 乳児が成し遂げる最初の社会的達成は、母親が見えなくなったら、不安になり、大声で泣いて母親を呼ぶことである。

4 乳児が最初期の経験から得る信頼は、食物や愛情の量が重要であり、母親との関係の質によるところは少ない。

5 第1段階における発育盛りの子どもにとっては、耐え抜くことのできないフラストレーションが満ちあふれている。 

 

問4 次の文は、乳幼児期におけるスキンシップの説明である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 赤ちゃんが大声で泣いている時に抱っこをしてスキンシップを図ると、それ以後すぐに泣く、「抱きぐせ」がつくようになるので抱かない方がよい。

B 一人一人の子どもの状態に応じて、スキンシップを十分取りながら心身ともに快適な状態を作り、情緒の安定を図る。

C 良質な保育とは、親などの保育者が「子どもと積極的にスキンシップを図り、子どもの発声・発語にきちんと応える姿勢」を意味する。

D スキンシップを図ると、依存性の強い子どもになってしまい、大人になっても自立できないようになるので、立派な大人にするためにはスキンシップは必要ない。

E 乳児が抱っこを求めてきたときは、可能な限り抱っこというスキンシップをとり、快適な状態と心の安定や安心感を与えた方がよい。

  A B C D E
1 ○ ○ × ○ ×
2 ○ × × × ○
3 × ○ ○ × ○
4 × ○ × ○ ×
5 × × ○ × ○

 

問5 次の文は、仲間関係、友達関係の発達についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びな さい。

A 仲間との関係ができ一人で遊ぶよりも複数の仲間と遊ぶことが多くなるのは、4歳頃からである。1、2歳児は、他の子どもと継続的に接していても一緒に遊ぶことはない。

B 子どもに、友達とはどういう人であるかとたずねる場合、3、4歳になると、一緒に遊ぶ人を友達であると答えるようになるが、5、6歳になると、遊びや物を共有するといった特定の行動を超えて、困った時に助け合い、苦しい時に励ましあう人を友達であると答えるようになる。

C 仲間関係集団内の地位の低い児童は、身体的・言語的な報復的攻撃的行動をとることが少なく、主張的行動をとることが多いといわれる。

D 青年期には、友人関係は浅く広い付き合い方から深く狭い付き合い方へと変わっていく場合が多い。

  A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ×
4 × × ○ ○
5 × × × ○

 

問6 次の文は、ピアジェ(Piaget.J.)の前操作的段階についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 0歳後半から7、8歳まで年齢段階をさす。

B 思考が行動と未分化であるという特徴がある。

C 時間の経過やみかけの変化にまどわされやすいという特徴がある。

D 事物や関係を、自分の観点だけではなく客観的にとらえることができるという特徴がある。

  A B C D
1 ○ × ○ ×
2 ○ × × ○
3 × ○ ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ○

 

問7 次の文は、ことばの発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A ことばは行動を調整するはたらきをもっている。3歳頃になると、まわりの状況がいかなる場合でも、それを無視して、ことばだけの指示にしたがって行動がとれるようになる。

B 話しことばの基となる発声は、生後1か月頃から現れる喃語にみられる。

C 養育者は、短い文で、ゆっくりと大きな抑揚をつけて話しかける。この独特な話し方を一語文という。

D 1歳代になると、二つのことばをならべて話すようになる。これを二語文といい、二つのことばをつなげることによって、文法構造をもつという特徴が現れる。

E 幼児のことばは、具体的なことがらについて、親しい人と会話する形で展開する。このように親しい人との対話を通して交わされることばを一次的ことばという。

  A B C D E
1 ○ ○ × × ×
2 ○ × ○ × ×
3 × ○ × ○ ×
4 × × ○ ○ ○
5 × × × ○ ○

 

問8 次の文は、自己の発達についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 乳児期における自己意識は、感覚運動的に形成される身体的自己と社会的相互作用をとおして確立していく対人的自己の両面によって成り立っている。

2 生後3か月頃になると、自分の手を目の前にかざし、その手をじっと見つめるハンドリガードと呼ばれる現象がある。自分の見ている手が自分で動かしている手であることに気づき、身体的自己を発見する。

3 客観的に自己を意識するようになる指標として、鏡映像の自己認知が用いられる。鏡に映った姿が自分であることに気づく子どもは1歳半頃から急増する。

4 自己調整能力には、自己を主張する面と自己を抑制する面がある。幼児期においては、二つの面とも完成に至ることが確かめられている。

5 幼児期には、子どもは自分を肯定的にとらえることが多い。児童期に入ると、他者との比較をとおして、自己を肯定的な面と否定的な面の双方があることに気づくようになる。  

 

問9 次の文は、保育を進める上での基本的な考え方である『生きる喜びと困難に対処する力』を育てる上で、特に鍵となる点の記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 大人との関係で培われる有能感が元になる。

2 課題状況に積極的に対応する対処の仕方を援助する。

3 子ども自身の内部にある力や機能を資源として活用することが出来るようにする。

4 がんばって課題に対処する中から喜びを汲み取れるようにする。

5 楽しくいつも幸せに暮らせることを最優先のこととする。

 

問10 次の文は、成人期の発達に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

1 乳幼児を育てる頃は、現代社会のキャリア発達の状況からみると、育児、自己の生きがい、仕事や職業などのバランスを再調整し始める時期である。

2 エリクソン(Erikson,E.H.)は、成人初期および成人期の心理・社会的危機を、それぞれ「親密性対孤立(独)」「生殖性(世代性)対停滞」としている。

3 母親だけでなく父親も、子育てをすることによって親は人格的な発達が促される。

4 青年期にアイデンティティを確立した後、成人期は人格が安定している。

5 成人期の心理・社会的危機の「生殖性(世代性)」には、子どもを育てることだけでなく、職場で人材を養成すること、一般的に人を世話することを含んでいる。

 

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問10.5

 

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