保育士試験

2007年度保育士国家試験 養護原理

平成19年度 養護原理

 

問1 次の文は、児童に関する法律の成立などについての記述である。( A )~( E )に当てはまるごくの正しい組み合わせを一つ選びなさい。  

第2次世界大戦後の新しい日本国憲法のもとで、昭和22年には( A )と教育基本法が制定され、昭和24年には( B )が施行され、昭和26年に( C )が示された。また、昭和34年の国際連合の総会では( D )が採択され、さらに、国際連合は昭和54年を国際児童年と定め、その後10年の年月をかけて( E )をまとめて平成元年に採択した。

     A      B        C             D               E
1 児童福祉法 少年法     児童憲章    児童の権利に関する条約 児童権利宣言
2 少年法    児童憲章   児童福祉法   児童権利宣言         児童の権利に関する条約
3 少年法    児童福祉法 児童権利宣言 児童憲章            児童の権利に関する条約
4 児童福祉法 児童憲章   少年法      児童の権利に関する条約 児童権利宣言
5 児童福祉法 少年法    児童憲章    児童権利宣言         児童の権利に関する条約

 

問2 次の文は、知的障害児施設の重度の知的な障害がある子どもの養護に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 学齢期であったとしても、重度の知的な障害がある子どもは施設で訓練や指導を受けているので、学校教育は受けていない。

B 重度の知的な障害があったとしても、いろいろな活動を組み合わせて、日中の活動を充実させることが望ましい。

C 施設では、生活の質を重要視するようになったため、食事や排泄などの基本的な生活習慣の自立のための生活指導は行われなくなった。

D 基本的生活習慣の自立や生活リズムを整えることを考えて、夏季や冬季の定められた帰省期間にのみ家庭帰省をすることが望ましい。

  A B C D
1 ○ × × ×
2 × ○ ○ ×
3 × ○ × ×
4 × × ○ ×
5 × × × ○

 

問3 次の文は、児童のための施設の法的根拠の記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 特別支援学校は、寄宿舎を併設しているところも多く、知的な発達障害がある児童のための施設で、「児童福祉法」に基づく児童福祉施設である。

B 重症心身障害児施設には医師や看護師を配置しなければならないことになっているが、「児童福祉法」に基づく児童福祉施設である。

C 乳児院は、法では職員の配置は看護師の配置が示され、保育士や児童指導員をもって代えることができるとなっていて、「医療法」に基づく医療施設である。

D 放課後児童クラブなどを行なっている児童館や、ブランコやジャングルジムなどの遊具が設けられている地域の児童遊園は、「児童福祉法」に基づく児童福祉施設である。

  A B C D
1 ○ × ○ ×
2 ○ × × ○
3 × ○ × ○
4 × ○ × ×
5 × × ○ ×

 

問4 次の文は、「児童の権利に関する条約」についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A この条約は、子どもが家庭で生活することを前提としているので、子どもが施設で生活することを認めていない。

B 日本は、この条約に対する関心が非常に高かったので、最初の締約国の20か国に入っていて、批准した国としては世界でも早い方である。

C 「子どもの最善の利益」や「意見表明権」といった、この条約の考え方によれば、学校の校則にも子どもの意見を反映させることが望ましい。

D この条約では、子どもは保護される受身の存在とする子ども観とは異なる、子ども自身が権利の主体者であるとする子ども観を示した。

  A B C D
1 ○ × × ×
2 ○ × ○ ×
3 × ○ × ×
4 × × ○ ○
5 × × × ○

 

問5 次の文は、現在施行されている「児童虐待の防止等に関する法律」についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 実母と暮らしている子どもの前で、同居をしている内縁の男性が実母に対して日常的に身体的な暴力を加えているが、まだ、婚姻の届けを出していないので虐待の定義に入らない。

B 刑法の秘密漏示罪の規定など守秘義務に関する法律の規定の適用と、児童虐待の発見に対する通告義務の規定との関係は、個々の事例によって優先が異なる。

C この法律の目的には、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防、児童虐待の早期発見、国及び地方公共団体の責務が明確に記述されているだけでなく、被虐待児の保護および自立支援についても規定されている。

D 児童虐待を行った親への指導は、国及び地方公共団体が行うことが規定されている。また、指導を拒否する親に対しては勧告とともに罰則も規定されている。

  A B C D
1 ○ × ○ ×
2 ○ × × ○
3 × ○ ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

 

問6~問7 各事例を読んで、設問に答えなさい。なお、各設問のA雄は同一人物である。

問6 次の【事例1-1】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例1-1】 実母が18歳の時、前夫との間にA雄は生まれたが、夫の暴力によりすぐに離婚した。A雄が1歳になると保育園に入園し、実母がアルバイトを始め、そこで今の夫と知り合い再婚した。再婚直後は、継父はA雄を可愛がったが、しかし、A雄がなつかず、すぐにぐずって言うことを聞かないなどの理由から継父の虐待が始まった。A雄が4歳の時、転んで足を骨折したので実母に連れられて小児科を受診した。診察した医者はA雄の体に多数のあざがあることを発見した。医者はこのことをすぐに児童委員に通告した。

【設問】 虐待児発見における対応として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 医者は、児童委員に通告するのではなく、児童相談所に直接通告するのが正しい。

B 児童相談所は児童委員から虐待を知らされたので、児童委員に協力を求めて、A雄の安全確認を行なった。

C すぐに児童養護施設に措置してA雄の支援を開始した。

D 実母と継父はA雄の虐待を認め児童養護施設入所に同意したが、児童福祉司は、虐待が日常的に行われていたことを理由に、実母及び継父には、A雄と接触させないこととした。

  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○

 

問7 次の【事例1-2】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例1-2】 その後、まもなくA雄は児童養護施設に入所した。しばらくは、夜寝ている時に大きな声で泣き叫ぶことがあり、職員にも心を開かず不安定な状況が続いた。1年度、園での生活が安定してきたので、幼稚園に通園することになり、ますます落ち着いた生活が送れるようになった。A雄が小学1年生になった時、実母と面会をしたA雄の担当職員は、実母がA雄を継父から守ってやれなかったことをとても悔いていること、また、継父もとても反省していることを聞くことができた。できればA雄を引き取り一緒に暮らしたいと望んでいることも告げられた。

【設問】 A雄の担当職員として、最も妥当な対応と思われる記述を一つ選びなさい。

1 入園直後の不安定な状況はどの子にも見られる状況であるが、A雄の担当職員は、A雄が園の生活に慣れるのを根気良く待ったからA雄の園での生活が安定したと考え、もう少し様子を見ることを実母に話した。

2 実母の気持ちを聞いたA雄の担当職員は、そう簡単に虐待は改善されないことから、聞くにとどめ、もう少し様子を見ることにした。

3 A雄の担当職員は、実母の思いを理解し園長に相談し、ファミリーソーシャルワーカー(家庭支援専門相談員)に協力を求めて家庭再統合に向けて、計画的に取り組むことにした。

4 A雄の担当職員は、実母の要望を受け入れ、すぐにA雄が家庭復帰できるように担当児童福祉司に手続きを依頼した。

5 A雄は日頃「家に帰りたくない。」と言っていたので、A雄の担当職員は家族引き取りは不可能と判断し、その旨を実母に伝えた。

 

問8 児童養護施設入所児童等調査結果の概要(平成15年2月1日現在)における、児童養護施設に在籍している子どもたちの状況についての説明である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 児童養護施設に在籍している子どもたちの入所年齢は、2歳が最も多い。

B 児童養護施設に在籍している子どもたちの入所時の保護者の状況については、「両親ともいない」と「両親とも不明」を合わせると「両親又は一人親」よりも上回った

C 児童養護施設に在籍している子どもについては、高校に進学するのは稀なことである。

D 児童養護施設に在籍している子どもたちの在所期間は、平均4.4年である。

E 児童養護施設への入所理由となる養護問題発生理由については、最も多かったのは「母の放任・怠だ」である。

  A B C D E
1 ○ ○ × × ×
2 ○ × × ○ ○
3 × ○ ○ ○ ×
4 ○ ○ × × ○
5 × × ○ ○ ○

 

問9 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】 児童養護施設H園での夏祭りの日であった。一時帰宅中のK男(5歳)が、予定より早く父親に連れられて園に帰ってきた。「うちで面倒みきれないので、どうかお願いします。」と言うと父親は足早に帰ってしまった。夏祭りであることから、担当の保育士は、K男に浴衣を着せようと着替えを手伝ったところ、K男の体に殴られてできたようなあざを数か所発見した。保育士はすぐに手当てをし、施設長にK男のことを報告した。K男に家での状況を尋ねるが、「こわい、こわい。ごめんなさい。」と怯えて泣くばかりで、状況をつかめなった。

【設問】 このK男の件に関して、施設側の対応として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A K男の状況から虐待と判断し、施設長は、今後のK男との面会を一切拒否する旨を父親に伝える。

B 事実を確認しなければならないため、すぐに、K男から外伯中の様子を詳しく聞きだす。

C K男を温かく見守り、園での生活が楽しく過ごせるように配慮する。

D K男への虐待の疑いがあるので、児童相談所と今後の対応について協議する。

  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ○

 

問10 次の【I群】に示されている説明と関係のある【II群】の語句を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【I群】A 以前、施設で生活する子どもたちに心身の発達の遅れなどの共通の症状がみられ問題となり、より個別的な援助を重要視するなどの配慮をするようになった。

B 障害児を通常の学校教育の中に統合するという考え方とは別に、障害がある子どもを含む全ての子どもに通常の学校教育の環境を保障することを出発点とする考え方。

C 最終的には援助者個々人が担うことになる利用者へのサービスの提供に対して、サービス内容の改善やケアの質の向上を図るためのシステムのひとつ。

D 抱えている問題や生活の課題を自分自身が改善し解決するために、人間が潜在的に持っている力を引き出す支援をすること。

E 援助が子どもの意思よりも親や家族の意思を優先して展開されることが少なくないが、援助者は子どもの意思を代弁し権利を主張することが必要となる。    

【II群】ア インクルージョン  イ エンパワメント  ウ アドボカシー  
エ ホスピタリズム  オ スーパービジョン

  A B C  D E
1 ア イ エ オ ウ
2 ウ エ オ ア イ
3 エ ア オ イ ウ
4 エ ウ ア イ オ
5 オ ア イ ウ エ

 

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