平成21年度 発達心理学
問1 次の文は、心理学者マスロー(Maslow,A.H.)の考え方についての記述である。( A )~( D )にあてはまる語句として最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
マスローの( A )理論では、欲求の階層を仮定し、( B )欲求と( C )欲求とに大別した。前者の欲求が満たされると、後者の欲求へと進み、最高の段階として( D )の欲求に至るとして、動機づけを説明している。
A B C D
1 社会的学習 成長 欠乏 自己実現
2 自己実現 内発的 外発的 自尊心
3 自己実現 内発的 成長 尊重
4 人間性 欠乏 成長 自己実現
5 人間性 外発的 内発的 自尊心
問2 次の【I群】の用語と、【II群】の説明文を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【I群】 A タッチケア B レディネス C インプリンティング D ホスピタリズム
【II群】 ア ほぼ成熟して誕生する早成性の鳥類が、孵化後ごく限られた時間のうちに、動く対象に追従し、強い絆を形成する現象。
イ 閉鎖的な病院や施設に長期間にわたり入院あるいは入所することにより生じる心身への影響。
ウ 学習を可能にし、成立させるために必要な発達の素地、心身の準備性。
工 養育者が子どもを見つめ、語りかけながら行う、素肌にふれる、なでる、マッサージをするといった手技を行うこと。
A B C D
1 イ ウ エ ア
2 ウ ア エ イ
3 ウ エ ア イ
4 エ イ ア ウ
5 エ ウ ア イ
問3 次の文は、新生児の発達についての記述である。最も適切な記述を二つ選びなさい。
1 生まれた直後の新生児は目が見えないが、数日で成人並の視力になる。
2 生まれた直後の新生児はどの音にも同じように反応するが、生後2、3週間の新生児は各種の音や声に対する選択的聴取能力をもつようになる。
3 出生時約300gだった大脳の重量が1歳半頃までに約1000gまで増加するのは、脳の神経細胞数の増加による。 4 新生児から吸啜反射行動が備わっていることが、食行動のひとつの基礎である。
5 様々な種類の原始反射は生後1週間でほとんど消失していく。
1 1と2 2 2と3 3 2と5 4 2と4 5 4と5
問4 次の文は、探索活動についての記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 乳児の活動は、環境にはたらきかける実行的な行動と、環境についての情報を収集する探索的な行動とに分けることができる。
B 探索活動の開始は、はいはい、歩行など移動ができるようになってからである。
C ものを探索して情報を得た後に、「繰り返し行動」を行い、喜びの表情を示すようになる行動パターンの変化がある。
D 探索活動は、なじみのある場所、事物、状況において活性化する。
E 乳児は特定の大人を安全基地として、積極的に探索活動を行う。
A B C D E
1 ○ × ○ × ○
2 ○ × × ○ ×
3 ○ × × × ○
4 × ○ ○ ○ ×
5 × ○ × ○ ○
問5 次の文は、幼児の自己制御機能に関する記述である。A~Dを発達の順に並べた場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
A 行為主体としての自己の認識が高まり、「自分で」「○○ちゃん(自分の名前)がやる」など、自分を強く主張するようになる。
B 「欲しいものを待てる」「決まり・ルールを守る」「感情を爆発させない」など、自分の意思・願望・感情を抑えることができるようになる。
C 歩行によって行動範囲が広がると同時に、行動が制限されたり禁上されたりする機会が増え、自分の思い通りにならずにかんじゃくを起こしたり、泣いたりすることが増える。
D 「一緒に」「わたしも」ということばが使われるようになり、他者への同調が生まれる。
1 A→B→C→D 2 B→A→D→C 3 C→A→D→B 4 C→D→A→B
5 D→C→B‐A
問6 次の文は、プレマック(Premack,D.)とウッドラフ(Woodriff,G.)によって初めに提唱された「心の理論」についての記述である。最も不適切な記述を一つ選びなさい。
1 「心の理論」はおよそ4~5歳にかけておおむね獲得され、他の人の心や行動の理解の基本となる。
2 外から観察できない「感じる」、「思う」、「考える」といった内面の世界と、外から観察できる外側の世界との区別ができることが「心の理論」の元にある。
3 誤信念課題においては、物の客観的な所在を答えるのは「心の理論」を獲得していることによる。
4 ごっこ遊びで見立てができることは、ものと見立てのイメージを区別することであるので、「心の理論」への発達の始まりである。
5 見かけとしての事実と物理的な事実とを区別することは、「心の理論」の獲得と関係している。
問7 次の文は、コールバーグ(Kohlberg,L.)の道徳判断の発達についての記述である。( A )~( C )にあてはまる語句の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
コールバーグ(Kohiberg,L.)は、道徳判断の発達についてIII水準6段階の発達論を提起した。第5段階と第6段階をIII水準の( A )道徳レベルとしている。道徳判断の最終段階では( B )を超えて自分で選んだ道徳原理に合うかどうかを( C )、に基づいて判断していく段階である。
A B C
1 他律的 社会的契約 正義
2 外的 義務と責任 論理的包括性
3 内的 人間の尊厳の尊重 一貫性
4 社会的 普遍性 社会秩序維持志向
5 自律的 社会的規則 良心
問8 次の文は、青年期から成人期の発達についての記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 青年前期は、人間の一生の中で、身体的発達の著しい時期である。
B 青年期は自己の内面に目をむけ、親との心理的離乳をはかる。
C 身体的・性的成熟の低年齢化・前傾化にみられるように、身体的・生理的変化は、社会的影響を受ける。
D 成人期においても、青年期に形成されたアイデンティティは組み替えが行われ、発達する。
E モラトリアムの期間に入る頃には、すでにアイデンティティを確立し、大人としての責任、役割を担っている。
A B C D E
1 ○ ○ ○ ○ ×
2 ○ × × ○ ○
3 ○ × × × ×
4 × ○ ○ × ×
5 × ○ × ○ ×
問9 次の文は、発達障害に関する記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害は、主として脳機能に何らかの障害が想定され、その症状が通常低年齢において発現する。
B 発達障害は固定的なもので、発達の過程では変化しない。
C 広汎性発達障害では自閉的症状そのものは将来にわたって残るが、人間関係発達援助によって対人関係の面でかなりの改善が期待できる。
D 「発達障害者支援法」には、児童の発達障害の早期発見と早期支援の重要性が明記され、国及び地方公共団体の責任が求められている。
A B C D
1 ○ × ○ ○
2 ○ × ○ ×
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ○
5 × ○ ○ ×
問10 次の文のうち、平成21年4月施行の「保育所保育指針」第2章「子どもの発達」の1「乳幼児期の発達の特性」の一部として適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 子どもは、遊びを通して、仲間との関係を育み、その中で個の成長も促される。
B 子どもは、自我の芽生えにより、身近な環境(人、自然、事物、出来事など)に興味や関心を持ち、情緒が安定する。
C 乳幼児期は、生涯にわたる生きる力の基礎が培われる時期であり、特に身体感覚を伴う多様な経験が積み重なることにより、豊かな感性とともに好奇心、探求心や思考力が養われる。
D 子どもは、子ども同士の関わりを基にして、大人との信頼関係を持つようになる。
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ × ○ ×
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ×
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