“保護者から相談を受けたとき、アドバイスをするものの、結果につながらないのですが、何がいけないのでしょうか?”
このような悩みを持つ保育士さんは、多いです。
ベテランの保育士さんほど、「なぜ、相談しておいて、アドバイスを受け取ってもらえないの?」と疑問を感じていたりもします。
その原因は、なにが考えられるのでしょう?
また、相談を受けるプロでもあるカウンセラーやコーチは、どのような姿勢で相談を受けているのか?
保護者との会話を大きく変える相談ときの在り方をお伝えします。
◆アドバイスは、ダメ出しに限りなく近い
アドバイスをしているとき、「あなたは間違っていて、わたしは、正しい。」という前提になっていないか、注意が必要です。
このような、状態で伝えるアドバイスは、「ダメ出し」と同様に伝わってしまいます。
また、相手を変えようという意識も同じく、「あなたは、今のままではダメです。」という気持ちが伝わってしまいます。
「否定された。」とか「ダメ出しされた。」と感じた人は、素直に心を開くことができません。
その結果、相談の場が、ギクシャクしていまうのです。
◆相手は問題を解決できるという前提を持つ
カウンセラーやコーチは、「自分が相手の問題を解決してあげるんだ!」という気持ちは持っていません。
反対に、「目の前の人は、自分で問題を解決できる人だ」という前提を持っています。
そのため、「あなたなら、できるわよ。」という言葉や、「今のままで、じゅうぶんに素晴らしいと思いますよ。」という言葉を伝えています。
相談した側は、自分を信じてもらえるという体験をします。
だから、アドバイスも実行してみようという気持ちになるのです。
◆アドバイスよりも、体験談が効く
カウンセラーが、アドバイスの代わりにしばしば行う手法があります。
それは、自己開示。
カウンセラーは、自分も同じことで悩んできた経験や、そのときに、どのように行動したのか?あるいは、どのように考えたのか?という自身の体験を伝えます。
これは、どんなアドバイスよりも相手の心に届きます。
自身に経験がない場合は、他の方の経験を伝える場合もあります。
他の誰かも同じことを乗り越えたと知ることは、大きな励みになるんですね。
≪井上きき 役に立つ話 2014年12月1日号≫