女性職員が多い保育現場で働く人々にとって、人間関係は気になる問題です。
特に昔ながらの伝統を重んじている園などでは、上下関係が厳しく、新人時代は苦労する……といった話も聞きます。
今回は、保育士が職場の人間関係に悩んだ時の打開策について、私の経験も含めてお伝えしましょう。
職員同士、意見の不一致が起こったら
低年齢のクラスでは、担任は2〜3人でチームを組んで保育を行います。そこにパートの職員も入り、4〜5人でクラスを回すことも。職員数が多く、子どもたちと密に関わることができるのは良いことですが、人が増えればそれだけ意見が衝突する可能性も高くなります。
保育観が合わないだけでなく、休憩時間や残業に対する考え方、掃除や整理整頓の仕方など、「生活の場」を共にするからこそ様々な不一致が出てくるのです。
大切なことは考え方の違いを尊重することです。保育観に正解はないので、頭ごなしに否定することはやめましょう。「どうしてこの人は、こういう考え方をするんだろう」と探り、意見交換をしてみてはどうでしょうか。自分と正反対の考え方を持つ人の声を落ち着いて聞いてみると、意外とヒントになる事柄が多かったりもします。
園長の意見に賛同できない
入職して仕事を始めたものの、園長先生の考え方にイマイチ賛同できない……という場合もあります。子どもや保護者への関わり方、職員へのアプローチの仕方など、ひとつ気になると、他にもたくさんのことが気になってしまいませんか?
上司の考え方に疑問を持ったまま仕事をするのは辛いものです。そういう場合は、まずは身近な職員と意見交換をしてみませんか。
同期や組んでいる先輩であれば、「園長先生はあんなふうに言ってるけど、あなたはどう思いますか?」と聞きやすいはずです。そこで自分とは違う解釈があると気づくこともできるし、自分と同じ意見の職員が集えば、会議の場で意見として提案することもできます。(直接上司に意見を言うと、角が立ち関係性が悪化する場合もあるので)
上司と後輩の板挟みになってしまった
主任やリーダー保育士のポジションにいると、上司と後輩の間に挟まれ、苦しい思いをすることもあります。
例えば、保育の仕事を覚えるため新人には積極的に土曜日のシフトに入って欲しいと考えている園長と、まだ仕事に慣れていないため、土曜日はできるだけ休みたいと思っている新人がいたとします。
新人の気持ちは痛いほど分かる……けれど、園長の言っていることも分かる。そんな時、どうしようかと悩んだりします。
中堅層の保育士は、上司と後輩の橋渡しの役割を負っているのです。後輩の意見の「聞き役」となり、これまでになかった新しいアイデアや、より働きやすくなるための意見をキャッチし、うまく上司に伝えなければいけません。また、上司の意見を後輩たちに伝える役目もあります。
ポイントは「何のために」を忘れないこと。
園長は、何のためにその指示を出しているのか。
後輩たちは、何のためにその提案をするのか。
それをやることで、子どもや職員にどんなメリットがあるのか。
「なぜ」の部分を端折らず、明確に提示することによって、板挟み状態は少なからず緩和されるのです。
保育現場で働いていると、様々な人間関係の悩みにぶつかります。
悩みを放っておくと、知らず知らずのうちに山積みになり、いつの間にか働きづらい職場になってしまうのです。
「ん?」と違和感を感じたら、先延ばしにせずできるだけ早く問題をクリアにし、笑顔で保育をしたいですね。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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