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年度途中の退職は、保育業界のタブー?

働いている職場が自分に合わず、転職を考えることはどんな職種においても必ず起こりうることです。

 

3月末を1年の区切りとする保育・教育業界では、「年度の途中で退職をしてはいけない」という暗黙の了解があります。

 

これが、一般企業とは大きく異なる業界独自の文化です。

そのため、退職や転職をしたいと思った場合、次年度のクラス編成の考案が始まる10月〜12月くらいに上司や経営層へ打診し、3月末で退職させてほしい意志を申し伝える……というのがセオリーになっています。

 

こういった暗黙の了解は、果たして本当に守り続ける必要があるのでしょうか?

 

 

年度途中で退職をしてはいけないと思われている理由とは?

 

担任保育士が年度の途中で退職をすると、保育園側には以下のようなデメリットがあります。

 

⒈子どもや保護者が困惑してしまう。担任との愛着・信頼関係を再構築しなくてはいけない。

 

⒉年間計画を立ててしまっているため、各種行事や係の担当を再検討しなければいけない。

 

⒊多くの園では保育士が足りていないため、すぐに代わりとなる正規職員が見つからない。年度途中であれば、なおさら難しくなる。

 

職場によっては他にも困りごとがあるかもしれませんが、大きく分けると上記の3つではないでしょうか。

 

 

 

年度の途中で辞めるのはいけないこと?

 

日本が定める法律では、労働者は自分の意志でいつでも自由に退職をする権利が定められています。保育園の就業規則等を確認すると、「退職する場合は1ヶ月前に申し出る」といった文言が記載されているのではないでしょうか。

 

年度の途中で辞めてしまうと園や他の職員に迷惑がかかってしまうため、辞め辛い……という思いはありますが、退職届を提出し、退職の意志を伝えた労働者に対して経営者は引き止めることはできないのです。

 

「非常識」という見方をされる場合もあるかもしれませんが、自己実現ができないまま年度末まで働いているよりも、なるべく早めに動き出し次のステップに進む準備をすることのほうが、自分にとっても、園にとっても、子どもたちにとってもプラスであると私は思います。

 

 

 

スムーズな退職のために

 

 

年度途中で辞めることを決意した場合、多かれ少なかれ同僚に迷惑がかかってしまうことは事実です。スムーズな退職をするために、以下のようなことをしておくと良いと思います。

 

・退職を決めた時点で、なるべく早めに上司に申し出る

・業務の引き継ぎを早い段階から行う。ノートにまとめるなど分かりやすく伝える。

・同僚にはしっかりと感謝を伝える

・退職が発表された時点で保護者にもきちんと挨拶をする

 

しかしながら、緊急を要する退職の場合、同僚や保護者へのフォローが難しいことあります。自身が病気になってしまったケースなどです。

法律では、「業務の引き継ぎをすること」「顧客(保護者)へのフォローをすること」は退職者の義務として定められていません。退職後に空いた穴を塞ぐのは、経営層のすべきことです。

 

退職をする場合、自己実現のために優先すべきものは何かを考え、できないことはできないと割り切ることも必要ではないでしょうか。

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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