めぐみ先生の保育コラム

食物アレルギーの基礎知識

 

近年、食物アレルギーを発症する子が増えているようです。子どもの命を預かる現場で働く保育士として、原因や対策について正しい知識を身につけておきましょう。

 

食物アレルギーとは

 

まずはじめに、食物アレルギーとな何なのかについて確認しておきましょう。食物アレルギーとは、食べ物の栄養成分が原因で、かゆみや腫れなど様々な症状が身体に現れることです。

症状の出方には個人差があるため、安易な判断は禁物。その日の体調によっても症状の重さは変化します。日頃から子どもたちの様子をよく観察すると同時に、家庭との密な情報共有が大切です。

 

 

食物アレルギーの5つの症状

 

食物アレルギーの症状は、大きく5つに分けることができます。

 

◇  皮ふ症状

かゆみ、赤み、じんましん、湿疹

◇  粘膜症状

(眼)充血、腫れ、かゆみ、涙目

(鼻)くしゃみ、鼻水、鼻づまり

(口)口、唇、舌の違和感・腫れ

   (のど)かゆみ、イガイガ

◇  消化器症状

腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便

◇  呼吸器症状

のどが締め付けられる感覚、咳、呼吸困難

◇  全身症状

アナフィラキシー(複数の症状が重なる)

アナフィラキシーショック(意識が朦朧とする、脈が速くなる、血圧低下 等)

 

アレルギー表示を確認しよう

 

加工食品の容器や箱には、アレルギー物質が一定量以上含まれる場合、表示することが義務付けられています。保育園でもおやつや給食の時間に、ジュースやお菓子などの加工食品を出すことがあります。クラスに食物アレルギー患者の子がいる場合は、注意して確認すべきです。

 

以下は、表示が義務づけられている7品目です。

 

・卵

・乳

・小麦

・えび

・かに

・落花生

・そば

 

この他にも、あわびやいくら、オレンジなど表示が推奨されている原材料が20品目あります。

また、加工食品の原材料は頻繁に変更される可能性があるため、以前食べて平気だったものでも、その都度確認したほうが安全です。

 

 

アナフィラキシーが起こった時の対処法

 

もしも保育園でアナフィラキシーの症状が出てしまった時は、次のような応急処置が必要です。

 

 

(1)原因となる食物を取り除く

症状の原因となる食物が口の中に残っていたり、体に付着している場合はすみやかに取り除いて水で洗いましょう。

 

(2)安静な体位をとる

子どもを仰向けに寝かせ、服を緩めます。足の下にクッション等を起いて高くしましょう。吐瀉物が口の中に入っている場合は取り除き、嘔吐しそうな場合は顔を横向きにして喉に吐瀉物が詰まらないよう配慮しましょう。

 

(3)経過観察

呼吸が浅い、意識が朦朧としているなど、重症の場合は迷わず救急車を呼びましょう。少しずつ症状が和らいできた場合も油断せず、経過を見守ります。顔色、呼吸、脈の速さ、肌の状態など、全身を観察しましょう。他のクラスの職員との情報共有を行い、職員全体で見守る体制をとりましょう。

 

 

食物アレルギー患者の子と向き合う

 

保育士は医師や看護師ではないため、医療行為を行うことはできません。しかし、食物アレルギーに関する正しい知識を身につけた上で保育を行わなければ、ちょっとした判断ミスが命の危険につながります。

食物アレルギーの症状は個々によって違います。多くの場合は成長に伴い症状が軽減しますが、大きくなってもアレルギー症状に悩まされる子もいます。

安易に「そのうち治るから大丈夫ですよ」と保護者に伝えるのではなく、家庭での様子を細やかに聞き取り、お母さん・お父さんと同じ姿勢で卒園まで見守っていくことが大切です。

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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