保育の仕事はチームワークが重要です。
特に乳児(0・1・2歳)クラスは複数の保育士が担任を務めます。
体操や製作活動、プール遊びなどの一斉保育を行う場合、「リーダー」が子どもたちの前に立って活動の説明をしたり、全体の活動を導いていきます。一方で「サブリーダー」(以下、サブ)はリーダーをアシストし、活動についていけない子どもたちを補助し、全体を見守る役割を担います。多くの保育園では、この役割を複数担任でローテーションし、クラスを運営していきます。
一見、サブの保育士は補助的な役割であって保育に大きな影響を与えないように思いますが、活動が円滑に進むかどうかはサブの動き次第・・・と言っても過言ではありません。
今回は、サブの保育士の仕事が大切な理由についてお伝えしましょう。
配慮が必要な子どもたちに、じっくりと向き合える
サブの保育士は、活動を少し後ろのほうで見守り、なかなか活動に入っていけない子に寄り添ったり、必要に応じてその子に合った援助を行います。
例えば、プール遊び時間。着替えをした子から隣の部屋で準備体操を始めましょう、とリーダーが全体を導いていきます。リーダーは隣の部屋で先に着替え終わった子と準備運動を始め、サブ保育士は子どもたちの着替えを見守ります。そんな中、A君は「まだ絵本を読んでいたい」と言って、なかなか着替えようとしません。A君はプール遊びがあまり好きではないのです。
こんな場面で、A君に寄り添うのがサブリーダーの仕事です。「みんな着替えているからA君も早く着替えなさい!」と促すのか、「A君、今日のプール遊びは宝探しをやるよ。どんな宝物があるか先生と一緒に見にいこう」と言葉かけをするのか。
保育者のアプローチの仕方によって、A君の気持ちは大きく変わります。配慮が必要な子(感受性が豊か、体調が悪い、集団行動が苦手、などなど)に対して、個別の対応をその都度考えていくことこそ、保育の本質に近いように思います。
全体の安全を守る役割を担う
サブリーダーは子どもたち全体の安全を守る役割を担っています。お散歩の時間に列の一番後ろに付いて、子どもたちが横断歩道を渡りきったことを確認したり。戸外遊びを終えて保育室に戻る時、園庭に残っている子がいないか確認をしたり。
集団を引っ張っていくリーダーの目が行き届かないところまで、細やかに確認し、子どもたちを守るのがサブリーダーの役割の一つです。危険なこと、心配なことがあれば、「○○先生、ちょっと待ってください!Bちゃんが転んでしまったので、手当てをします」とリーダーに声を掛けて情報共有し、全体の動きをストップさせたり、活動を変更させたりすることも大切です。
活動を客観的に見て評価することができる
自分がリーダーになって全体を引っ張っていく時、自分の保育を客観的に見て評価するのはなかなか難しいことです。子どもたちは本当に楽しんでいたか?準備不足はなかったか?危険な場面はなかったか?ひとつひとつを省みて、次の保育に活かす必要があります。
そんな時に役立つのがサブ保育士の視点です。全体の様子を見守ることができるからこそ、活動の良かったところ、改善が必要なところが見えてきます。その日の保育が終わった後にクラス会議を行い、それぞれの視点で気づいたことを出し合うことで、クラス運営をブラッシュアップしていくことができるのです。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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