子どもは友達と喧嘩をしながら成長するもの……とは言うものの、気持ちが昂ぶってしまいとっくみあいの喧嘩に発展することも。そうなると、ただ見守っているわけにはいきません。
まだ保育に慣れていない新人時代は、子どもたちが泣いたり怒ったりしていると、自分自身も焦ってしまいがちですよね。そんな時、どのように対応したら良いでしょうか。
パンチにキック!さっきまで仲良く遊んでいたのに……
<事例>
3歳児クラスのD君とF君はいつも仲良く遊んでいます。今日も園庭で三輪車競争をしていたのですが、ふと担任が目を向けると、とっくみあいの喧嘩が始まっています。D君がF君の足を蹴り怒っているようです。F君は大きな声で泣いて「D君が悪い」と主張しています。
<対応>
言葉だけの言い合いであれば、しばらく子ども同士のやりとりを見守っていても良いのですが、パンチやキック、噛みつくなど相手の体を傷つけるような行動が見られそうになった場合、まずは安全の確保が必要です。二人の間に入り、体が接触しないように離しましょう。
気持ちが昂ぶっているため、またすぐにとっくみあいが再開される可能性もあります。そうならないために、椅子を二つ用意して「D君はこっち、F君はこっちに座ってお話しようね」と促すことで、少しクールダウンできるかもしれません。
今回の事例では、D君がF君の足を蹴っていたため、つい「蹴っちゃだめじゃない!」と言ってしまいそうになります。しかし、トラブルの背景をきちんと確認していないのに、目に見える攻撃をした子を頭ごなしに叱るのはやめましょう。
喧嘩には必ず理由があります。「喧嘩をしたらだめ!」ではなく、なぜその行動をしたのか子どもの気持に寄り添って話を聞くことが大切です。
「D君はF君に順番を守るように教えてあげたかったの?でも順番を守ってくれなかったのが嫌だったの?」と、自分の気持ちがうまく言葉で言えない時は、保育士が気持ちを代弁し「そっか、悔しかったんだね」と気持ちを受け止めます。
そして、子どもたちの気持ちが落ち着いてきたところで、他者の体を傷つけることはしてはいけないことであると伝えましょう。
ただ単に「パンチやキックはしないよ」と教えるのではなく「お友達が間違えたことをしていたら、『そうじゃないよ、こうやるんだよ』って言葉で伝えようね」と“パンチやキックの代わりになる行動”を提案しましょう。
喧嘩の時の対応は、人手があれば子どもと保育士が1対1でじっくりと話を聞き気持ちを受け止める方法もあります。しかし、一連の流れを理解している保育士が一貫した対応をしたほうが良いという場合も。
喧嘩の場面だけに言えることではありませんが、その時によってベストな対応は変わります。
<ヒント>
喧嘩が起こらないようにと配慮するよりも、いつ喧嘩が起こっても目が届き、すぐに対応できる準備をしておくことが大切だと思います。そのためには、自分の立つ場所や、同じクラスの職員との連携の仕方なども大切です。
慣れてくると、「あの子とあの子はぶつかりやすいかも」というのが分かってくるので、活動の前に保育士の動きをよく計画し、チームで連携して子どもたちを見守りましょう。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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