めぐみ先生の保育コラム

里親制度のことを知ろう 後編

前編では、なぜ保育士が里親について知る必要があるのかと、里親の種類についてご紹介しました。

 

後編では、実際に里親をしている方の声と、委託された後の子どもの養育についてお伝えしましょう。

 

里親をしている方たちの声

 

「これまでに10人以上の子どもを家庭に受け入れてきました。最初の日はどの子も緊張しているので、心をほぐすように丁寧に関わるようにしています。慣れてくると、一緒に買い物に行ったりクッキングをしたり、普通の親子と何ら変わらない生活です」(Dさん・40代)

 

「若い頃に我が子を亡くし、夫と相談して里親をすることにしました。我が子の代わりとは思っていませんが、我が家に来る子どもたちには120%の愛情で応えています。中には相性が合わないお子さんもいましたが、児童相談所の職員の方が間に入ってサポートしてくれました」(Fさん・50代)

 

「児童館で働いていた経験を活かして里親をしています。我が家は共働きで日中は家にいないため、受け入れているのは就学している子どもたちです。夏休みの間だけとか、親が退院するまでとか、短期の子も預かったことがあります。そういう場合は、おじいちゃんちに来るような感覚で利用してもらえればと思います」(Iさん・30代)

 

委託された子どもの養育について

・真実告知をする必要性

迎えた子どもたちに対し、里親子であることを伝える「真実告知」をする必要性があります。子どもの発達段階に応じて、分かりやすい言葉で繰り返し伝えていくことが大切と言われています。

 

・実親との交流

里親家庭で生活しながら、実親との交流が必要な子もいます。その際、混乱や不安の気持ちが大きくなってしまうこともあります。里親は子どもの気持ちに寄り添い、安心して過ごせる環境づくりを第一に考えます。

 

・プロのサポート

血縁関係のない子どもを一時的に家庭で養育する場合、思いがけぬ問題が発生することがあります。そういった場合は、児童相談所の職員や心理職員、医師と相談しながら養育を行うことができます。

 

・勉強会や交流会

里親向けの勉強会や交流会を関連機関が実施しています。中には里親として登録していない人でも参加できるものもあるので、里親について知りたい場合は行ってみることをおすすめします。

 

前後編に渡り、里親制度のことをお伝えしました。保育園に来る子どもたちの中には、さまざまな家庭の事情を抱えた子がいます。生みの親のもとで育つことができない子に対し、また、彼らを養育している保護者に対し保育士としてどんな関わり方ができるのか、今後も学んでいきたいですね。

 

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佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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