昔の保育現場では、保育者が子どもたちに一方的に指示を出して従わせる保育をしていたり、保育者の指導しやすさに重きを置いて保育環境を作ったりしていました。しかし、現代の保育で大切に考えられているのは子どもたちの「主体性」。
何となく言葉の意味は分かるけれど、主体性を大切にした保育って具体的にはどんなものなのでしょう?現場で働いている先生たちの話をもとにまとめてみました。
子どもたちが自分で遊びをチョイスできるようにしています。
工作コーナーや絵本コーナー、ダンボールのおうちコーナー、お店屋さんコーナーなど保育室の中に複数の遊びのコーナーを作り、子どもたちが自分で遊びを選べる環境を作りました。遊びの時間が終わったら片付けてリセットではなく、作ったり遊んだりしたものをそのまま残しておけるように生活スペースと遊びのスペースを分けています。
発表会の内容は子どもと担任が話し合って決めました。
発表会の劇の演目は毎年恒例のものではなく、クラスの子どもたちと話し合って決めました。クラスの子どもたちは魚に興味があり、夏のお泊まり保育で川遊びをした時も魚を見つけて大喜び。
発表会の劇の内容を考えるにあたり、魚が出てくる物語を図書館で子どもたちと一緒に探しにいきました。魚の種類や大きさにアレンジを加えたり、劇の途中で子どもたちが調べた魚の豆知識を披露する場面も作りました。
保護者に見せるための劇ではなく、子どもたちが自ら楽しんで作り上げる劇になったと思います。
年上の子を見ながら成長できる環境づくりをしています。
保育室内の安全に配慮し、子どもたちがのびのびと遊べる環境を作っていることはもちろん、保育室の外の環境にも工夫しています。幼児クラスとの仕切りを一部透明にしていることで、子どもたちはいつでもお兄さん、お姉さんの姿を見ることができます。
保育者が教えなくても、子どもたちは自然と年上の子どもたちの姿を見て成長していくことができます。
その保育は大人のため?子どものため?
子どもたちの主体性を大切にした3つの事例をご紹介しました。つい集団の中の子どもたちをまとめようという考えが働きがちですが、それは「大人のため」の保育になっているかもしれませんね。
保育者同士で保育を見せ合い、振り返りの機会を設けてみるのもおすすめです。
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佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |
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