めぐみ先生の保育コラム

フリー保育士の難しさとやりがい

担任保育士をフォローするフリー保育士。活動の準備や環境設定から子どものフォローまで幅広い業務をこなします。

 

経験が少なくても難なくできるのでは?やりがいが少ないのでは?というイメージを抱く方もいるかもしれませんが、実はフリー保育士の仕事をするには高い保育スキルが必要で、やりがいもたくさんあるのです。

 

今回は、フリー保育士の難しさとやりがいについてお伝えします。

 

フリー保育士の仕事の難しさ

(1)子どもとの関係づくり

いつも同じクラスで過ごすわけではないため、子どもとの関係づくりに時間がかかってしまう場合があります。また、活動を最後まで見守りたかったのに途中で他の業務が入ってしまい悔しい思いをすることも。乳児クラスに入ったフリーの先生からは「私だけ人見知りされてしまい悲しい……」といった声も聞こえてきました。

 

(2)担任との関係づくり

クラス全体の様子が見えているため、担任の保育を見て助言したくなってしまうというフリー保育士は少なくないようです。よかれと思ってアドバイスをしたところ、担任を落ち込ませてしまったり疎ましく思われたり、といったケースも。担任との協力体制は重要ですが、スマートな関係づくりが悩みどころですね。

 

(3)モチベーションの継続

時期によっては掃除や事務作業などの雑用が多くなり、子どもたちと十分に関わることができない場合もあります。そんな時、どのようにモチベーションを継続していいか分からないと悩んでしまうかもしれません。また、クラスに所属していないため疎外感を感じてしまうという声もありました。

 

フリー保育士のやりがい

(1)保育士としての視点が広がり成長できる

たくさんの子どもや保育者に関わりながら仕事ができるのはフリー保育士の特権です。幅広い年齢の子どもたち、そして様々なキャリアの保育士の仕事を見る経験は必ずプラスになるはず。入職1年目でフリーを経験した保育士の方は「たくさんの先輩から色んなワザを盗むことができて良かった」とのこと。

 

(2)園全体を見ることができる

子どもと関わるよりも雑務を行うことがどうしても多くなってしまうフリー保育士。しかし、園全体の運営を見ることができる良さもあります。環境整備や緊急時の対応、職員全体のチームワーク形成など、クラスに入っていた時には見えなかった部分に気付くことができるかもしれません。この経験は主任や園長にキャリアアップした時の糧になるはずです。

 

(3)一人ひとりの子と時間をかけて向き合える

担任がフォローしきれない子の援助を行うのもフリー保育士の仕事です。そのため、じっくりと一人の子に寄り添い、その子の気持ちを汲み取る役割が求められます。「フリー保育士になって、子どもへの理解がより深まった」という感想も。

 

(4)担任の楽しさを実感するきっかけに

フリー保育士を経験することにより、担任保育士の楽しさややりがいを実感したという人もいます。担任の業務を客観視できるので、「次に担任になった時はこんなことをやりたい!」とイメージが湧いたり、自分自身のこれまでの保育を振り返るきっかけになるかもしれません。

 

園にとってなくてはならない存在

担任を持っていないからといって、フリー保育士は楽で簡単な仕事ではありません。人間関係やモチベーションの維持の仕方で悩むこともあるかもしれません。

 

しかし、フリー保育士だからこそ感じることができる楽しさもあります。ある園長は「フリーの先生は園にとってなくてはならない存在。子どもや担任にとって絶対に必要なサポート役」と言っていました。

 

フリー保育士の業務を担うことは、成長のチャンスとも言えるでしょう。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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