保育の環境を作る時に大切にしていることはなんですか?
安全面、清潔感、職員同士の連携の図りやすさなど、取り入れたい要素はたくさんあると思います。
今回お伝えしたいのは、「子どもが遊び込める保育室」について。1人ひとりが遊びに夢中になり、心と体が成長できる保育室にするためのアイデアをご紹介します。
ひとりで遊びに没頭するためのおこもり空間
棚や段ボール、間仕切りなどを使い、興味のある遊びに没頭できる空間を作ります。広々としたスペースでなく、1畳ほどのこじんまりとしたスペースがあれば十分です。
仕切りの背を低くすることで、立ち上がればいつでも保育者や友達の存在を確認することができ、安全性も確保できます。
みんなで座って遊べるできるちゃぶ台
子どもの背の高さに合った小さなちゃぶ台と座布団を保育室の一角に用意します。丸いちゃぶ台と座布団が置いてあると、自然とそこに座りたくなりませんか?ちゃぶ台はままごと遊びに使うイメージが強いかもしれませんが、読み聞かせをしたり、おしゃべりをしたり、パズルをやったりと思い思いの遊びを楽しむことができる場所を作ることができます。
様々な年齢の子が同じ空間で過ごす延長保育の時間にもおすすめです。低年齢の子が落ち着いて遊べるスペースとして活用したり、大きい子と小さい子がゆったりと交流する場にもなります。
好きな絵本を自由に選んで手に取ることができる本棚
本屋さんや図書館に行った時に、たくさんの本の表紙が目に入ると大人もワクワクしませんか?背表紙の文字だけ見えている状態よりも、表紙が見えるように絵本を設置することで絵本に対する興味はより強まります。
また、多くの絵本の中から自分の好きな絵本を選ぶのも楽しい経験です。季節や月ごとに定期的に本棚の中身を入れ替え、「今日はどんな本があるかな?」と子どもたちが主体的に覗き込んでくれる仕掛けを作ります。
1人ひとりがアーティストになれるアトリエ
子どもたちの「今、これを作ってみたい」という思いを叶えるアトリエを園内に設置します。絵の具や紙、プラスチックや木材、布など様々な素材と道具を用意し、子どもが好きなように取り出せるようにします。作ったものを飾ることができる展示コーナーを設け、他のクラスの子どもや保護者にも見てもらえるようにすることで表現の楽しさも倍増。作品に対する思いを言葉で伝え合う経験も生まれるかもしれません。
環境を作って終わりではなく、必ず振り返りを
その空間で子どもたちはどんな遊びをしていたか、どんな交流が生まれたか、表情はどうだったかなど、保育者同士で振り返りをしてみましょう。
子どもたちの姿に合わせて日々環境をアレンジしていくことも大切です。「昨年のクラスではみんな楽しんでいたのに、今年の子の反応はイマイチ……」ということもあるでしょう。目の前の子どもたちの興味に合わせ、色々な環境づくりにトライしてみてくださいね。
佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |