朝の受け入れは家庭から保育園への気持ちの切り替えポイント。保育者が丁寧に寄り添うことで、子どもも保護者も安心感を持つことができます。入園して間もない頃や、乳児クラスの子どもたちは朝の登園で保護者と離れる時に泣いてしまうことがあります。どのような関わり方をするのが良いか考えてみましょう。
保護者と離れたくない気持ちを受け止める
仕事へ行こうとする保護者とまだ離れたくないと主張する子に対しては、まずはその気持ちをしっかりと受け止めることが大切です。「ママと抱っこしていたいよね、寂しいよね」などと言葉掛けをしながら抱っこしたり、手を握ったりスキンシップをすることで安心する子もいます。
「時計の針が4になったらママは帰ってくるよ」「今日はプールで水鉄砲をして遊ぼうね」といった言葉も前向きな気持ちになるために有効です。
短い時間で保護者とコミュニケーションを
朝の受け入れ時は、これから仕事先へ向かう保護者にとって慌ただしい時間。今日の仕事のことを考えて気持ちが焦っている保護者もいるかもしれません。ゆっくり保育者と話すことが難しい保護者もいるでしょう。
しかし、家庭での様子や変わったこと、担任への引き継ぎ事項は正確に聞き取らなくてはいけません。大切なことはメモを取り、簡潔に分かりやすいコミュニケーションを心掛けましょう。そして、保護者を送り出す時の笑顔も忘れずに。
気持ちを立て直し園生活に入っていくためのアプローチ
保護者を見送った後もなかなか遊びに入っていくことができない子もいます。職員配置に余裕があれば、1対1で丁寧に関わりましょう。例えば、保育室まで電車ごっこをしたり、抱っこをして園内を散歩したりといった「気持ちの立て直しタイム」を設けることができると良いと思います。
職員の人数に余裕がない場合は、他の子の遊びを見守りながらその子を膝に乗せてスキンシップをとったり絵本を読んだりするなど、1対1で寄り添う時間を作ることができると良いですね。
丁寧に健康観察を行う
顔色や機嫌、皮膚、呼吸の様子、体温などいつもと違うところがないかチェックします。保護者から体調不良であることを伝えられた場合は、朝のうちに念のため検温をしたほうが良いと思います。家庭で測った時は熱がなかったのに、登園後に熱が上がるというケースも珍しくありません。
感染症が流行する時期や汗をかきやすい時期は、皮膚の異常にも注意が必要です。発疹やかぶれなどがあれば、看護師や他の保育士にも相談しよく観察しましょう。
職員同士のチームワークが大切
複数の子どもが同時に登園してくる朝の時間は、なにかと慌ただしいものです。限られた人数の職員で異年齢の子どもたちを見守る難しさもあると思います。
そんな中で、親子に寄り添い笑顔で受け入れを行う余裕を持つためには職員同士の連携が必要不可欠になります。みんなが楽しい気持ちで園生活をスタートできるよう、先生たちも温かな気持ちで保育をスタートしたいですね。
佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |