一時保育とは、保護者が何らかの事情により家庭で保育ができない時に利用することができる時間単位の保育形態のことを言います。主に、認可保育園や認定こども園が地域の親子を対象に実施しています。
ここでは、事業の特徴や一時保育を行う時のポイントについて解説します。
一時保育の事業内容は3種類
認可保育園で一時預かりを行う場合、事業内容は主に以下の3つに分類されます。(自治体ごとに名称や内容は異なります)
⒈非定型型保育サービス事業
保護者の就労、通学、介護、職業訓練などの理由で保育が必要とされる。
⒉緊急保育サービス事業
保護者の病気や事故、出産、冠婚葬祭など一時的に家庭保育が困難になる場合に利用できる。
⒊リフレッシュ保育サービス事業
買い物や美容室など私的な理由で保育が困難な時に利用できる。
一時保育を必要としている保護者の事情は仕事だけとは限りません。家庭ごとにさまざまな事情があることを理解した上で保育に臨みましょう。
一時保育で配慮すべきことは?
- 事前の打ち合わせを丁寧に行う
一時保育とは言え、保育の姿勢は通常保育と変わりません。在園児と同様に事前面談を行い、必要事項をヒアリングしましょう。一時保育の時にどのような環境で過ごすかや、1日のスケジュールなどを伝えておくと保護者は安心できると思います。持ち物や注意事項は紙に印刷して手渡せるように準備しておくと良いでしょう。
- 一時的な保育であっても子どもの情報共有は怠らない
短時間の保育であっても子どもに関する情報を職員同士できちんと共有し、誰が対応しても問題ないようにしておくことは大切です。特に食物アレルギーなど健康状態に留意点がある子の場合は情報共有は必須です。
- 在園児と一緒に保育をする場合は生活リズムの違いに注意
園によって一時保育の環境は異なります。一時保育専用の保育室を設けている場合もあれば、在園児と一緒に過ごす場合もあります。
在園児と一緒に過ごす場合は生活リズムの違いに注意しましょう。普段は家庭で過ごしている子がいきなり園のリズムで生活を送ることは難しいはずです。食事や睡眠の時間がずれる可能性も考えられます。個別対応が行えるようにゆとりのある職員配置をしましょう。
- 家庭の事情に踏み込み過ぎないこと
特にリフレッシュ保育の場合は、預ける理由を聞かないことが大切です。保護者が育児を離れて自分の時間を楽しめるように協力することも育児支援のひとつ。事情を問わずに利用できることがリフレッシュ保育の良さです。
保護者と子どもが安心して利用できる一時保育を目指そう
一時保育でお預かりをする場合、保護者の都合ばかり優先するのではなく子どもの最善の利益について考えることも大切です。たとえば、初めて一時預かりを利用する乳児の場合、いきなり長時間の保育は負担が大きいはずです。保護者が長時間利用を望んだとしても、子どものことを考えて短時間利用を提案する、といった姿勢も大切になります。
保護者と子どもの両者が安心して利用できる保育を目指しましょう。
佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |