めぐみ先生の保育コラム

保育における「アタッチメント」とは?

保育や子育てをしていると「アタッチメント」という言葉を見聞きすることがあるかと思います。「愛着」や「愛着関係」を意味する言葉かな?とイメージする方も多いはず。

 

ここでは、保育における「アタッチメント」の意味や、保育者が大切にしたいポイントについて解説していきます。

 

アタッチメントの意味

「アタッチメント(attachment)」を直訳すると「付着」や「連結」という日本語になります。もう少し柔らかく表現すると、「くっつく」「しがみつく」を意味する言葉です。まさに、小さな子が大好きな大人にぴったりとくっついている姿ですね。

 

保育におけるアタッチメントという言葉は論者によって解釈が多少異なりますが、多くの場合は「情緒的な絆」や「愛着関係」を意味します。

心理学の分野でアタッチメントという言葉を最初に用いたのはイギリスの精神科医、ジョン・ボウルビィです。戦争孤児の研究をしていたボウルビィは愛着行動の発達段階を4段階に分類し、発達に伴ってアタッチメントの対象(養育者など)が内在化し、身体的な愛着行動が減っていくと論じました。

 

アタッチメントはどのように育まれていくのか

保育所保育指針には、乳児期の子どもたちは特定の大人との応答的な関わりを通じて、情緒的な絆を形成すると記されています。特定の大人とは、両親や保育者など身近な大人のことです。

眠いときや寂しいときなど、子どもたちはアタッチメントの対象である特定の大人との触れ合いを通じて不安や欲求を解消します。「先生、抱っこして」とまだ言葉で言えない発達段階の子は、泣いて触れ合いを求めてくることもあるでしょう。

そういった欲求を身近な大人が無条件に受け入れ、気持ちを満たすこと。これを繰り返すことにより、アタッチメントが形成されていくと考えられています。

 

保育において大切に考えたい乳児期のアタッチメント

アタッチメントの欲求が満たされた子は、特定の大人の腕の中から外へと出ていき、色々なものに興味を持ったり挑戦したりできるようになります。アタッチメントの形成は、子どもの自我の芽生えや自己肯定感の形成と深く関連しています。

 

特に0〜2歳の乳児期の子どもたちにとって、特定の大人との情緒的な絆の形成は重要です。子どもたちの気持ちが満たされているか、「抱っこして」の気持ちに向き合えているか、一人ひとりと丁寧に向き合いながら日々の保育をしていきたいですね。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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