これまでにも連絡帳に関するコラムはいくつか書いてきましたが、今回は「書き方」ではなく「読み取り方」について解説します。保護者が連絡帳に書いてくださった内容を読み取るときのポイントをまとめます。
過去のコラム
保護者は連絡帳にどんなことを書く?
連絡帳は園と家庭を結ぶ大切なツールです。最近は紙のノートではなくアプリなどを使っている園も増えていると思います。アプリの普及により、連絡帳の記入は以前よりも効率的になりました。しかし、使用するツールが変わっても連絡帳で伝えたい内容は以前と変わりません。
保護者が連絡帳を介して園に伝える内容は、主に以下のようなことです。
- 体調の変化について
- 通院や予防接種の報告
- 休みの予定や理由
- 家庭での様子(食事、遊び、成長など)
- 持ち物や行事に関する質問
- 送迎時間や送迎者の変更
- 保育の中で気になったこと
読み取りのポイントは?
保護者からのメッセージを読み取る際には、いくつかのポイントがあります。
- 質問、疑問はないか。あればできるだけ早く回答する。
- 体調の変化は些細な内容でも職員全員に共有する。
- 家庭でのエピソードには共感を。成長が見られたら共に喜ぶ。
- クレームかも?と思ったら独断で返事をしない。必ず上司に相談した上で回答する。
上述した内容は保育をする上で基本的なことであり、多くの先生が実践していると思います。
プラスαのポイントは、
- 保護者が文字にしていないことまで推測すること。
です。
例えば「最近は朝によく泣きます。行き渋りかもしれません。登園時間が遅くなり申し訳ありません」といったメッセージです。このメッセージには子どもの様子と園への謝罪のみ書かれていますが、登園時間が遅くなるということは、保護者の出勤にも影響が出てくるということです。子どもが行き渋りをしていることに、少なからずストレスに感じているのではないでしょうか。
保護者としては「毎日行き渋りをするので私だって疲れてしまいます」とは連絡帳に書きにくいものです。文字には現れていない心情や、家庭での出来事などを推測できると、保護者に対するアプローチの幅が広がるのではないでしょうか。
この例のように見えないSOSが隠れていることもあれば、「家での可愛かったエピソード」や「担任に直接言いにくいモヤモヤした疑問」などが隠れていることもあります。
書かれていることが保護者が伝えたい内容のすべてではない、と念頭に置き連絡帳を読んでみると、新しい気づきがあるかもしれませんよ。
佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |