世界中で「SDGs」への意識が高まる中、保育の中でどのようにSDGsを考えていくべきでしょうか。
この記事では、SDGsの捉え方や保育現場における取り組みの事例などを紹介します。
SDGsとは
SDGsという言葉を聞いたり、カラフルなアイコンを目にしたことがある人は多いと思います。SDGs(エスディージーズ)とは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の略称で、国連に加盟するすべての国が2030年までに達成を目指す17の目標のことを意味します。
世界には気候変動や感染症、紛争、貧困、ジェンダーの不平等といった様々な課題があり、地球上で暮らす1人ひとりが課題意識を持ち、持続可能な世界を気づくために行動することが求められています。17のアイコンで表現されているのは、その指針です。
SDGs17の目標
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤を作ろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任、つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
保育現場のSDGsな取り組みの事例
SDGsの17の目標達成を目指し、様々な取り組みを実践している保育現場もあります。以下はその一例です。
- 廃材の牛乳パックを使った紙漉き体験。リサイクルしてハガキを作り、大好きな人に手紙を書く。
- 地域の河川敷の清掃活動に参加。集まったゴミを持ち帰り、どんなゴミが多いのか子どもたちと一緒に調べる。
- 太陽光発電所の見学。メガソーラーを実際に見てみる。
- 幼児に向けたジェンダー教育を実施。体と心の性のことや、相手の体や自分の体を大切にすべきことを紙芝居で伝える。
- 地域の商店街や工場を見学。どんな仕事があるのかを知り、関心を持つ。
子どもたちの主体的な行動や気づきを大切にする
SDGsを意識した保育を実践している園の中では「SDGsの内容は何十年も前から当たり前に幼児教育の中でやってきたことでは?」といった声も。たしかに、保育の在り方を振り返ってみると、17の目標と保育のねらいには相関性があります。
あえて「SDGs教育」と銘打って保育の中に取り入れる内容ではないかもしれませんが、現在、地球ではどのような課題があるのかについてや、課題解決のために1人ひとりが何をすべきかについて子どもたちと話し合ってみることで、新たな気づきが生まれる可能性もあります。
ある保育園では「ゴミ拾いの様子を動画サイトで発信してたくさんの人に見てもらおうよ!」と提案した年長児がいたそうです。ICTを活用した取り組みも、現代ならでは。活動の芯は昔と変わらなくても、時代の流れに伴い新しい手法が生まれることもあります。
そして、「持続可能な社会をつくるために◯◯をやりましょう」と保育者が促すのではなく、子どもたちが主体的に考え、気づき、行動できるようにすることが大切です。
佐藤愛美(さとうめぐみ)
保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。 保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。 |