めぐみ先生の保育コラム

子どもの主体性を大切にした計画・記録を書くには?

指導計画や保育記録を書いているときに「この内容では子どもが受け身になってしまうのでは」と悩むことはありませんか?

ここでは、子どもの主体性を大切にした保育計画や記録の書き方について考えていきたいと思います。

 

【ポイント1】子どもたちの姿を起点にしよう

保育者の「こうなってほしい」「これを経験してほしい」という思いをもとに計画を作成すると、子ども主体の保育からは遠ざかってしまいます。

 

まずは、子どもたちの今の姿に注目してみましょう。子どもたちが興味をもっている対象や、会話によく登場するもの、おもしろがっている遊びなどを起点に計画を作成します。

 

そして、保育を実践した後には新たな気づきがあるはず。子どもたちの最新の姿や表情、声を捉え、その記録に基づいて次の計画に繋げていきます。

 

【ポイント2】写真を活用しよう

保育中の写真を撮影しておくと、振り返りの際に役立ちます。子どもの写真を撮るとなると「全員の笑顔の写真を残さなくては」と気負ってしまうかもしれませんが、この場合はあくまでも記録に役立てるための写真です。

 

例えば、子どもたちが園庭で木の実を集めてお皿に盛り付けている様子や、その遊びに参加している子の真剣な表情、思うようにコミュニケーションが取れず困っている子の様子、木の実のままごと遊びがゲームに発展していく過程など、状況がわかる場面を写真に残しておきます。

 

そうすることで、一人ひとりの姿をより正確に捉え、記録や計画の内容に活かすことができます。

 

【ポイント3】心が動いた瞬間をメモしよう

記録や計画を作成するときは子どもの心の動きだけに焦点をあてがちですが、保育者自身の心の動きにも着目すると、意外な気づきを得られたり、より子ども主体の保育に近づける可能性があります。

 

例えば、4歳児の色水遊びの場面で、A児が全部の色水を混ぜてしまい黒く濁ってしまったシーン。一緒に遊んでいた子どもたちは「Aちゃんのせいで台無し!」と泣いて怒り、新人保育者が介入してそれぞれの気持ちを代弁することに。しかし、A児たちは納得しないままその活動は終わってしまいました。

 

この出来事から「力不足だった」と落ち込んでしまった新人保育者。しかし、これこそが「心が動いた瞬間」です。心が動いた瞬間=嬉しかった瞬間や感動した瞬間だけとは限りません。

 

なぜ自分が落ち込んでしまったのか、何が悔しかったのか、そういった気持ちをぜひメモに残しておきましょう。気持ちを紐解いていくことで、次はどんな手立てを考えたらよいかのヒントが浮かんでくることもあります。

 

計画や記録は保育者自身の財産になる

保育の計画や記録に対して、プレッシャーを感じている保育者は少なくないようです。特に慣れていない新人時代はこれらを修行のように捉えている人もいます。

 

計画や記録を作成するのは誰のため・なんのためなのかを今一度考えてみませんか。

 

子どもたちのためということはすぐに頭に浮かぶかもしれませんが、実は保育者自身の財産になるんですよ。

 

佐藤愛美(さとうめぐみ)

保育ライター。保育園や子育て支援施設にて担任や育児講座等の業務を経験。2016年にはフリーライターに転身。保育園の取材記事やコラムなどを中心に執筆し、現在に至る。

保育の仕事の魅力や、現場で活躍する保育者たちの生の声をお届けします。

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