保育士不足が話題になっている昨今。東京だけではなく、沖縄でも深刻化しています。那覇市では、2015年から2018年度で保育士定員が4016人増えた一方、保育士の採用が追いつかず保育士不足に拍車がかかっています。2019年度から那覇市では保育士資格を保有しながら、保育士として働いていない「潜在保育士」への支援を開始する見込みです。今回は沖縄で保育士として働くメリットについてご紹介します。
沖縄での保育士の有効求人倍率
待機児童解消、保育所整備等による保育の受け皿拡大を進めていますが、保育士の確保が追いつかず、有効求人倍率が年々高くなっている状況です。沖縄労働局那覇署管内の2017年度の平均有効求人倍率は、全職種で1,28倍に対し、保育士は4,43倍と高い水準です。(2018年11月現在)社会貢献度や子どもの成長は保育士でなければ感じられない魅力。しかし、保育士として働き続けられるための環境や待遇が整っていないのが現状です。沖縄では保育士人材の確保や潜在保育士の保育所への就職を支援することを目的に復職支援・貸付制度・就労環境の改善・給与改善など様々な取り組みを実施しています。
沖縄の保育士の平均支給額
沖縄県保育士・保育所総合支援センターに登録している保育園の新卒採用での基本支給額となります。
①公立
雇用形態:非正規
平均基本支給額:174,493円 最高額:198,000円
②認可園
雇用形態:正規
平均基本支給額:166,759円 最高額:190,100円
雇用形態:非正規
平均基本支給額:164,387円 最高額:190,100円
③認可予定
雇用形態:正規
平均基本支給額:158,694円 最高額:178,000円
雇用形態:非正規
平均基本支給額:155,280円 最高額:162,000円
④小規模
雇用形態:正規
平均基本支給額:160,618円円 最高額:180,000円
雇用形態:非正規
平均基本支給額:163,324円 最高額:186,800円
⑤事業所内
雇用形態:正規
平均基本支給額:163,860円 最高額:180,000円
雇用形態:非正規
平均基本支給額:155,991円 最高額:183,240円
⑥認定こども園
雇用形態:正規
平均基本支給額:172,500円 最高額:172,500円
雇用形態:非正規
平均基本支給額:174,435円 最高額:183,240円
出典先:沖縄県公式ホームページ(保育士さんのための就職ガイドブック「保育士手帳」)
保育士の就労環境・給与改善のための取り組み
保育士の就労環境の改善のため、保育士の正規雇用化支援や年休取得、出産等の長期休暇のための代替保育士配置支援、負担軽減のための保育支援者、保育補助者の配置支援などもおこなっています。
また、保育士の給与は年々増加しており、2012年度に比べて月額22,000円増加、年収換算では422,000円の増加となっています。2017年度には技能経験に応じて月額5000円以上40,000円以下の処遇改善が実施されています。このほか、「質の向上」の一環として、保育士全員に対して月額6000円程度の処遇改善も実施されています。
今沖縄で保育士が必要とされている理由
沖縄では保育士処遇向上関連事業で3.1億円もの予算が組み込まれています。なぜここまで保育士のニーズが高まっているのでしょうか。ここでは保育士が必要とされている理由についてご紹介します。
待機児童の存在
認定保育所などに入れない沖縄県内の待機児童は3275人にのぼります。(2018年10月現在)昨年より待機児童の数は685人減少していますが、新規の申し込みは増加傾向にあり、県が掲げる2019年度末での待機児童の解消は未だ困難な状態です。
保育サービスの多様化
現代の日本ではお子様がいる家庭でも、女性が働くのが当たり前となりました。
女性の社会進出・核家族化により朝から夜遅くまで子どもを預かる保育園が必要となっています。また、多様な保育ニーズに対応するため、延長保育、夜間保育、病後児保育事業のサービス提供ができる保育施設が必要とされています。そのため、様々な時間で働ける保育士が必要となるのです。
保育施設の増加
2016年度那覇市では14園の保育施設の開設が予定されていました。しかし、開園するためには受け入れる園児の年齢や定数に合わせた保育士の確保が必要です。保育士が確保できず開園の延期や開設された保育園に保育士を引き抜かれ、人手不足で定員減となるなど。保育施設を増やすことで多くの問題が浮上しています。
沖縄では待機児童ゼロに向けて保育士人材の確保や潜在保育士の保育所への就職を支援しています
「保育士就職準備金貸付事業」「未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業」を実施しています。ここでは各貸付事業の概要を説明します。
保育士就職準備金貸付事業
保育資格を保有していて、保育士として働いていない「未就業保育士」の再就職支援として再就職に必要な費用の貸付制度です。保育資格登録後1年以上経過した方で保育所を離職して1年以上経過した方や未就業保育士の方であれば申請が可能です。
40万円以内全て無利子となっており、沖縄県内の施設で2年間保育士として勤務した場合は返還が免除となります。
未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業
未就学児を持つ保育士の方を対象としたものです。保育料に必要な費用の一部を貸付けることで保育士資格を保有している方の最就職を支援することが目的の貸付制度です。
未就学児を持つ保育士の方で、県内の保育所に新たに勤務する方や産休・育休から復帰する方であれば申請が可能。未就学児の保育料として、1年間を限度として、月額27,000円を上限に貸付します。同じく無利子となっており、沖縄県内の施設で2年間保育士として勤務した場合は返還が免除となります。
参照:沖縄県公式ホームページ(保育士確保のための貸付事業について)
沖縄では保育施設の整備、保育士の就労支援を行い高まるニーズに対応し、待機児童の解消に乗り出しています。保育士は子どもの成長を毎日感じることができるやりがいのある仕事です。しかし、保育士として働き続けられるための環境や待遇が整っていないことで保育士が不足しています。沖縄は2019年度末までに待機児童ゼロを掲げています。そのためにより保育士の労働環境や待遇が改善されていくことが期待できます。
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